20081231131755
雪景色

けっこう早めに到着。
北海道近くはちょっと揺れたかな。

風が強い。やっぱちょっと寒いな。
20081230202346
大洗港より。またしても年内最終便です

大洗港より年末恒例となったフェリーでの帰省。
やっぱこの雰囲気がたまりません。

今日は風も暖かく、波も穏やか。しかし外洋は
それなりに揺れるでしょう。

明日には北海道。氷点下の雪景色です。
2008年度アクアノートの平日OFFは
一人の死傷者も出すことなく、無事終了いたしました。
ひとときではございましたが、お楽しみ頂けたでしょうか。
ご都合がつきましたら、また次回もご参加ください。

そしてこの一年、本当に応援ありがとうございました。
ラジオ、脚本と少し忙しい一年でしたが
また来年も、歌や踊りで頑張っていk
文筆活動で頑張って参りますので、どうかご声援宜しくお願いいたします。

森田明弘 (門司)
月曜19時より開催する明日の忘年会。

香月さま
TOKISAさま

体調不良に付きリタイヤ。

http://aquanote.blog27.fc2.com/blog-entry-619.html
内容の詳細はこちらで。
昨日、頭痛がするのに頭痛薬が切れていてつい我慢できず
家中の薬物を全てテーブルに並べ(門司は薬マニアです)、
「リンゲリーズと、あと風邪薬、VB剤、ムコスタ、まとめて
一気だぜええええ!! 突き抜けろオーバードーズ!!」
というテンションになってしまい、今8時頃目覚めましたが
かなり脳がおかしなことになっているような気がします。
でも大丈夫! 併用でムコスタ飲んでるところに結構冷静さが
見え隠れ。

大体リンゲ(ロキソ)は頭痛にはあんまり効かない気がします。
まぁ市販薬に比べれば効く方ですが。
最近の医者はロキソプロフェンナトリウムを処方しすぎだと
思うんですが。なんでもかんでもロキソニン出せばokとか
思ってませんかね。これ結構本気で。

偏頭痛にはエレトリプタン臭化水素酸塩(商品名レルパックス)
が効きます。私と同じ偏頭痛にお悩みの方は病院へ行き、
レルパックス下さいと言いましょう。ロキソニンが出てこないように。
ボルタレンも、非常時には効果的ですが飲み過ぎると
肝臓が終わるので気をつけましょう。

やはり頭痛薬は一家に100錠は常備しなきゃダメです。(嘘です)

そういや死んだ父親も薬マニア。
病院から貰ってきた薬をジャンル分けして大量に保管していた。
よく俺が、眠れないとか頭が痛いとか言うとアレとかコレとか
口に出せない薬がぽんぽん出てきたもんだ。
母親は元々躁鬱。実は『雨に歌う譚詩曲』は、母親の闘病、看病
体験からヒントを得て製作したのですねー。
「リアルでした」とか感想を頂けますが、そりゃそうですw

ちなみに鎮痛剤の市販薬では、オススメはイブクイックか
セデス・ハイです。ちょい高いですが。
個人的な感覚だと、イブクイックは20分で効き出しますけど
耐性が付きやすい感じです。バファリンに馴れたらコレって感じ
ですかね。
セデス・ハイも良く効きます。速度では劣りますが効果が深く、
多い日も安心って感じです。
ただしセデスは市販薬にしてはちょっと副作用が強い気もする。

さて、薬について一気に語りましたが。

一応言っておきますが、みなさん。大まじめに。
服用薬は、『やめないで』ください。
頓服の薬は別に止めて構わないのですが、向精神薬の類は
絶対に定期服用を止めてはいけません。
あと胃潰瘍などの内服薬も止めてはいけません。

まぁ、躁鬱なりパニック障害の方はとにかくアッパーな時に
「自分は治った。自分は大丈夫。だから薬は不要」とか
思うものです。あと日本人は何故か、常用薬を止めましたと
言うと「偉い」とか言う人が必ずと言っていいほどいます。
「気合いで治せ」とかわけわかんない事を言う人もいます。
じゃあ首を切り落としてやるから気合いでくっつけろよと
思いますw

薬切れの状態は身体にダメージを与えます。つまり薬は
身体を保護しているものなのです。薬を指示無く止めるのは、
エネルギーゲージ0でロックマンをやるようなものです。
無論、医者から「止めろ」と言われてるのに飲み続けるのは
単なる中毒ですがね。

薬とは、適度な距離を保ちながら。
しかし頼りになり、自分を守ってくれる『盾』でもあります。
メリークリスマス!
今年もやってきましたクリスマス!
そして今年は久々に、クリスマスをテーマに書き下ろしの作品を
書いてみました!

2006年クリスマス小説

意外と評判が良かったあの2006年クリスマス小説の続編になります。
未読の方は2006年版からどうぞ!

まぁ2年前のお話なので、一度読んだ方もぜひ2006年版を
読み返してからにしていただけたらなぁと思います。


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【クリスマス急病 ――そして、運命的でもあり、絶望的でも
ある俺に起こった迷惑で残虐ですらある奇跡と呼べる何か――】



今年の年末は、天候が不安定だった。
やけに暖かくなったり、やたらと寒くなったり。

世間はクリスマスムード一色に染まっていた。
どこを向いても赤、赤、緑、赤、赤、縞。
同じ縞ならしましまぱんつのほうがよほどいい。
何しろアレには夢がたくさん詰まっている。
サンタクロースもしましまぱんつは好きだろうか。いや、
きっと好きなはずだ。(断定)

誰もが夢を抱き、夢に溺れ、夢に溺死する。
12月。そしてクリスマスというのはそういう日だった。

今日は肌寒い。ちらちらと雪まで降っている。
それをベッドから眺めながら、俺は完全に悟っていた。

体温、39度2分。

今の気分、最悪。

脳内ではちかちかする光の中で、森繁久弥が霊界から
こちらへおいでと手招きしている。

奴は不死だったはずだったが……。いつの間に丹波哲郎の元に
馳せ参じていたんだ。
いや、待て。そんなことは関係ない。森繁が不死でも、
しまぱんが最高でも関係ない。

これは下手をすれば死に至る病。
略して言うとデッド病気。

つまり風邪とかインフルエンザだ。

俺は服を脱ぎ始めた森繁の幻影を振り切って起きあがる。
このままではコミケに……いや、そういう事ではなく、
楽しいことを何も味わうことのないまま、死ぬ。

それだけは嫌だった。そうなりたくはなかった。

だから俺は、家から最も近い病院へと向かった……。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


病院は、いやに空いていた。

年末の病院など恐ろしい混雑で、数時間は待たされるだろうと
覚悟を決めてきた俺だったが、拍子抜けすることになる。
まぁ、もちろん、数時間も待っていたら結果的に拍子どころか
魂が抜けることは想像に難くないのだが。

@看護婦
「診察室にお入り下さい」

@俺
「あ、どうも」

看護婦に扉を開けられ、診察室1番と書かれた部屋に入る。

中に入ると、まぁ一般的すぎる診察室。ベッドのような診察台。
丸い椅子。白いカーテン。白衣を着た女医。

女医……?

珍しく思って見つめている。その女医はカルテに視線を落とし
こちらを見ていなかったが、やがて顔を上げた。

@女医
「はい。それではえーと」

@俺
「……」

@女医
「切りましょう」

@俺
「ちょっと」

@女医
「はい」

@俺
「いきなり何言ってるんですか。って……あれ? えっと、
どこかでお会いしたことがあるような……何か遠い昔にこんな
感じのやり取りがあったような」

@女医
「……」

@俺
「ちょっと顔をよく見せて貰えませんか」

@女医
「……」

@俺
「いや、後ろ向かないで顔見せて貰えますか」

@女医
「いやぁ、あまり見せて惚れられても困るかなって思って」

@俺
「その喋り方!! その口調!! あんた絶対あの時の、2年前
のクリスマスの時に会った床屋だ! あのパーマをやけに勧めて
くる店員だ!」

@女医
「ひ、人違いですよ」

@俺
「出身地は?」

@女医
「群馬県甘楽郡南牧村です」

@俺
「お前だろ!! 絶対お前だ!! 特産品は!!」

@女医
「炭とか……はっ、しまった! これは罠ですか!」

@俺
「あんた、一体なんでこんな所に! なんでそんな格好を!」

@女医
「し、仕方ないですね。確かに私は2年前まで床屋をやってました。
しかし今は、多くの人命を救い、健康の大切さを説き、外車を
乗り回し、ステーキを食いまくるすごい医者になったんです」

@俺
「最後の方は全くもってひどいが……いやそれ以前に、ちょっと
待て」

@女医
「なんでしょうか」

@俺
「いつからこの国は2年で床屋が医者になれる国になった」

@女医
「昭和初期から?」

@俺
「完全に違う!! てか無理!! 無理だろ!!」

@女医
「なんてことを言うんですか。床屋を辞めてはや二年。来る日も
来る日も勉強に精を出し、やっと手に入れた医師免許……」

@俺
「手に入るかボケ」

@女医
「わー。二年ぶりに会ったらめっきりサディストっぽくなりまし
たね。その片鱗は薄々感じてましたけど」

@俺
「一体どういう事なんだ」

@女医
「えっとですね、要するに、ほらあれですよ」

@俺
「何がアレだ」

@女医
「私、お客さんの上着のポケットまさぐる癖があったじゃない
ですか」

@俺
「いやそれは癖とかじゃなくて完全に窃盗だから」

@女医
「その結果、知らず知らずのうちに医師の免許証が手元に」

@俺
「おおい!?」

@女医
「あはは、じょーだんですよじょーだん」

@俺
「なんだ冗談か」

@女医
「とりあえず診察始めますか」

@俺
「待て」

@女医
「なんですか。早く切開しないと手遅れになるかもしれませんよ」

@俺
「とてつもなく重要なことを無視して進もうとするな」

@女医
「男って面倒臭いですよね。小さな事でウジウジしちゃって」

@俺
「小さくねーから」

@女医
「そんなんじゃ、お日様に笑われちゃうゾっ♪」

@俺
「うわー久しぶりだなーこの殺意」

@女医
「まぁまぁ。ここで会ったのも何かの縁。ここは一つ、この
私に任せてくれませんか。さっきからドブネズミみたいな顔色も
きっと良くなりますよ」

@俺
「……はぁ、はぁ……そうだ。言われて思い出した……体調が
最悪に悪いんだ。風邪だと思うんだけど……」

@女医
「あらあら。……えーと、どれどれ。うん。おでこに手を当てて
みましたけど、大体30℃〜40℃ってところですね。平熱です」

@俺
「ちゃんと計れよ」

@女医
「えーめんどくさい」

@俺
「いや、そんなアバウトな計測で何をどうするんだよ」

@女医
「じゃあ、これ。この水銀体温計を、口にくわえて計ってください」

@俺
「…………」

@女医
「……」

@俺
「……? ……」

@女医
「……」

@俺
「………………あのさ、ちょっと」

@女医
「体温計ってるときに喋ったらダメですよ」

@俺
「いや、あの。この体温計、なんか変な味がするんだけど」

@女医
「……ああ。えっと、それは先ほどの患者さんが直腸体温を
測ったからだと思います。気にしないで下さい」

@俺
「全力で気にするわバカ野郎!! おえっ、おえぇぇ」

@女医
「大丈夫ですよ。ティッシュで拭きましたから」

@俺
「消毒は!?」

@女医
「…………」

@俺
「黙るなよ!!」

@女医
「あーはいはい。ええっと、39度8分ですか。これはもう完全に
内臓のいくつかが致命的な状況ですね」

@俺
「なんでだ! 熱だけだろ! 普通に風邪かなんかの治療をして
みるとかまずはその辺から入るだろ!」

@女医
「私、患部を開いて見られないような病気はあまり得意じゃなくて」

@俺
「内科って書いてあったけどこの病院」

@女医
「私、スーパードクターなんであんまり関係ないんですよ。大体、
医者に専門とかなくてもいいと思いません?」

@俺
「それ以前に医者じゃないだろお前。何語ってんだよ」

@女医
「わかりました。じゃあお腹切りましょう」

@俺
「話を聞け。俺は風邪だ」

@女医
「素人の生兵法ってのが一番危ないんですよ」

@俺
「お前が言うなよ」

@女医
「私が見た感じ、あなたは多分ガンです」

@俺
「あーそうかい。はいはい」

@女医
「どう考えても助かりません。切りましょう」

@俺
「助からないのに切るのかよ!!」

@女医
「みんなそう言って最初は驚きます。助からないのになぜ
切るのか。医師も自問自答します。そこに患者がいるからだ。
助からなくてもいい。せめて病魔に一矢報いるために」

@俺
「ああもうわけがわからなくなってきた……」

@女医
「大丈夫ですか」

@俺
「いや、本当に目眩がする」

@女医
「本当ですか。どうぞ気を楽にしてください。横になって」

@俺
「ああ。その右手に持っている注射器を置くまでは、絶対に
意識を失わないようにしようと思ってるけどな」

@女医
「ちっ」

@俺
「舌打ちしたか今」

@女医
「してませんよ」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


@女医
「一体患者さんは何をどうしたいんですか。さっきから否定的な
意見ばっかりで、全然治療に協力してくれないじゃないですか」

@俺
「あのさ、俺別な病院に行くからもう結構だわ」

@女医
「ちょっと待ってよ」

@俺
「いや待たない」

@女医
「待ってってば」

@俺
「待たないって」

@女医
「好きなの!!」


@俺
「なんでだ!!!!」


@女医
「えへ、ちょっと好きになってみちゃった。めいわく?」

@俺
「最低限の前兆とか下積みとかぐらいはあるだろ!! この
タイミングじゃ単純に気持ち悪いだけだ馬鹿たれ!!」

@女医
「クリスマスイブに会いに来てくれるなんて。ロマンチック……
星が落ちそうな夜……二人きりの診察室……」

@俺
「昼だ」

@女医
「二人はそこで結ばれて、誓いの開腹手術を」

@俺
「絶対嫌だ。っていうかもういい。とりあえず、どうせ任せても
ロクな事にならないのは解っているし、俺からやってほしい事を
言うからその通りにやってくれ」

@女医
「えへへー考えなくて良いかららくちんー」

@俺
「ぶっ殺すぞマジで」

@女医
「冗談ですよ。で、女に奴隷のように指図することでちっぽけな
プライドを守ろうとする患者さん、私は何をすればいいですか?」

@俺
「まず、氷まくらを用意してくれ」

@女医
「わかりました。熱湯風呂ですね」

@俺
「違う。で、俺はこの診察台に横になる。で、なんか呼吸が苦し
いんでどこにでも売ってるメンソールの塗り薬を」

@女医
「鼻に詰め込むんですね」

@俺
「塗り薬だと言ってるだろうが」

@女医
「流行に乗ってみませんか?」

@俺
「流行ってねーし。胸に塗ってくれ」

@女医
「じゃあ私、更衣室行って塗ってきますね」

@俺
「お前が塗ってどうするんだよ」

@女医
「女医プレイ?」

@俺
「プレイしない。プレイしないから。絶対しないから」

@女医
「ダチョウ倶楽部っぽい前振りされちゃった」

@俺
「すんなっつってんだろうが!!」

@女医
「はいはい。冗談なのに本気で怒鳴らなくたって」

@俺
「今の俺が冗談の通じる状況に見えるんだったら、認識に
相当問題があると思うんだが」

@女医
「わかってますよ。で、この注射ですね」

@俺
「いや、そのさっきから思わせぶりに持ってる注射器の中身が
わからないから、絶対にいらない」

@女医
「そうですか。でも、これ打ったら体調良くなりますよ?」

@俺
「……」

@女医
「絶対良くなりますって。私の言うこと聞いておいたほうが
いいですよ」

@俺
「……本当に?」

@女医
「本当です」

@俺
「……誰でも効くの?」

@女医
「誰にでも速効です」

@俺
「そうなのか……」

@女医
「はい」

@俺
「……じゃあ、自分に打ってみろよ」

@女医
「私を殺す気ですか」

@俺
「ダメじゃねーか!! ううっ……もう本当にダメだ……」

@女医
「ああっ、大丈夫ですか。意識が朦朧としてるんじゃないですか」

@俺
「ああ……なんだか目が良く見えなくなってきた……」

@女医
「患者さんしっかりしてください。気を確かに保って」

@俺
「うぅ……」

@女医
「……」

@俺
「……」

@女医
「……」

@俺
「……なんで俺の上着の財布を抜こうとしてるんだ?」

@女医
「ちっ」

@俺
「舌打ちしたろ」

@女医
「してません」

@俺
「どんだけひどい女なんだよ。こんなに身体が弱ってるというのに」

@女医
「ライオンは群れからはぐれた弱い動物をまず狙うそうですよ」

@俺
「……で?」

@女医
「今のはちょっとした失言だったかもしれません。あまり気に
しないでください。身体に障りますから」

@俺
「いや、もう……なんかどうでも良くなってきた……冗談じゃなく
このままだともう意識を保ってられないかもしれない」

@女医
「大丈夫ですか」

@俺
「大丈夫じゃないって言ってるだろ……なんとかしてくれ……」

@女医
「怖い話をしましょうか」

@俺
「……いや、いらない……」

@女医
「昔々あるところに、車を道路で走っているおじいさんが水浸しの
タクシーに乗ったときに、シートが濡れていたそうです。きゃああ」

@俺
「意味が全くわからないし!!」

@女医
「心臓が止まるかと思いました」

@俺
「止まれば良かったのに……」

@女医
「吊り橋効果って知ってますか?」

@俺
「知らない。知っていても、それは今の状況には全く当てはまら
ないと断言する」

@女医
「もしかして、具合悪いんですか?」

@俺
「具合が悪くなかったらこんな病院に来るかよ」

@女医
「なんでこんな病院に来ちゃったんですか?」

@俺
「だからお前が言うなよ!」

@女医
「怒鳴ったりしたら余計ひどくなりますよ。どうせこの病院は
全く流行ってないし、ゆっくり休んでください」

@俺
「……そりゃ助かるが……流行ってないのか」

@女医
「もちろん。えへん」

@俺
「別に褒めてないんだが」

@女医
「昨日まで来ていた患者さんがひとり、またひとりと病院に来なく
なるんです。間違いなく治療成果が出ているということですよ」

@俺
「……俺はその話を、全く真逆に受け取っているが……」

@女医
「……」

@俺
「……」

@女医
「……退屈じゃないですか?」

@俺
「……」

@女医
「……ああ、そういえば」

@俺
「……」

@女医
「今日はクリスマス・イブですよね」

@俺
「……ああ」

@女医
「全国で恋人達が甘い夜を過ごすロマンチックな日ですよ」

@俺
「……そうなのかもな」

@女医
「私たちの出会いも、運命的っぽいですよね」

@俺
「運命ってのは本当に残酷だな……」

@女医
「2年前、お台場デートした時のこと覚えてますか?」

@俺
「ああ、俺の家のカギを盗んでお台場まで逃走した女を追いかけた
挙げ句、捕まえようとした俺が車にはねられて大怪我を負った
アレの事か……」

@女医
「素敵な夜でしたね」

@俺
「あの時薄れ行く意識の中で、俺に指を指して大爆笑していた
女の顔は生涯忘れないと固く誓ったよ……」

@女医
「あの時もこんな風に二人きりで過ごしましたよね」

@俺
「集中治療室でな……」

@女医
「二年経っても全然変わらない。寡黙な人のままですよね」

@俺
「意識が無かったわけだからな……」

@女医
「あの時、思ったんです」

@俺
「……何を」

@女医
「医者は、儲かるって」

@俺
「……」

@女医
「……」

@俺
「……」

@女医
「……」

@俺
「……」

@女医
「……あ、流れ星」

@俺
「昼だ」

@女医
「……」

@俺
「……」

@女医
「……」

@俺
「……」

@女医
「注射は」

@俺
「自分に打て」

@女医
「……」

@俺
「……」

@女医
「……」

@俺
「……」

@女医
「『患者の命は刻一刻と失われつつあった。まるで揺れる蝋燭の
炎のように儚く乏しいそれを、女医はただ見つめることしか
できなかった』」

@俺
「……勝手なモノローグ作るな」

@女医
「……」

@俺
「……」

@女医
「『助けるためには切るしかない。女医は頷いた。患者もその言
葉に納得し、手術承諾書にサインした……』」

@俺
「やめろっつってんだろうが」

@女医
「……」

@俺
「……」

@女医
「なんだか本当に具合が悪そうですね。大丈夫ですか?」

@俺
「今このタイミングでなければ、少しはその言葉を好意的に受け
止める事が出来たと思うんだが……」

@女医
「本当に具合悪かったんですね」

@俺
「39℃以上の熱があるのは確認しただろ……」

@女医
「あれはブラフかな、って」

@俺
「できるかンな事!! ごほっごほっ!!」

@女医
「ああ、無理しちゃダメですよ。ほら、うがい薬です。飲んで
ください」

@俺
「飲むかっ!!」

@女医
「ああ、大変。今、手のひらで温度を測ってみましたけど
30℃〜40℃ぐらいの熱があるみたいです」

@俺
「ああそうだよ!! あるさ!! 何しろまだ死んでないからな!
ごほげへがほごほがはっ!!」

@女医
「今すぐお医者さんを呼ばないと!」

@俺
「いるのか!? 呼んでくれ! 頼む!」

@女医
「なーんちゃって。私しかいませんー」

@俺
「ああああああああああああああああああああああああ!!」

@女医
「へっへー騙されてやんのー」

@俺
「ああああああああああちっくしょおおおおおおおおおおお!
ごほがほごほがほっ!! うがああああああああああ!!」

@女医
「元気が出てきた感じですね!! やった!」

@俺
「出てねぇーー!! 絶望してるだけだ!! ……あ……」

@女医
「……?」

@俺
「……あう……」

@女医
「……」

@俺
「……」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


突然視界が暗くなり、全ての音が消失する。

横になったまま平衡感覚が狂い、まるでベッドから落ちたかのよ
うに悲鳴を上げた。

つもりだった。だが、まるで身体が言うことを聴かない。

俺は、完璧に気を失ったらしかった。

真っ暗な闇の中で。

@俺
「……あ、森繁久弥さん。こんにちは」

真っ白い雲の上で、森繁久弥さんが笑っている。
あの人は死んでしまったのだろうか。

いや、違う。そんなことは有り得ない。あの人は不死のはずだ。
つまり……。

@女医
「あっ」

@俺
「……」

窓の外に映る、青い空と白い雲。
森繁久弥の笑顔の残影。

そして、白い病室。ベッド。

……自分の傍らには、白衣の女がいた。

窓から差し込んでくる白い光は、朝陽のきらめきがある。それは
乱反射して、彼女の頬を照らす。信じられないといったように、
弛緩した頬を。

そして、その次に。ようやく感情が追いついたかのように、
口元を手で覆って。

信じられないというように、感極まった声で。

@女医
「うそ――効いていないなんて――」

@俺
「何がだ!!」

違和感の残る身体を起こして、俺は眩しい光を、手で遮った。


@俺
「一体どうなってるんだ。ここは……病室? 俺は生きているのか。
しかし森繁が……いや、そんなことはどうでもいい。まさか」

@女医
「ごめんなさい」

@俺
「いや、待て。とりあえず謝るのは待て。腹……腹は、良かった。
どうやら意味もなく切開手術をされた形跡はないな……」

@女医
「でも、謝らなきゃ」

@俺
「いやいやいや、謝る必要はない。ホントに。出来ることなら、
どんな臨床実験を行ったのかとかどんな薬物を投与したかとか
どんな機械を埋め込んだかとか絶対に言わないで欲しい。完全に
諦めるから。聴いて死にたくなるようなこと言われたら困るから!」

@女医
「でも……」

@俺
「でももだってもアンダンテもない!! いいんだもう永久に
黙っていてくれ!!」

@女医
「ホント? 嬉しい」

@俺
「いや……何も嬉しがる事もないんだが……」

@女医
「だって、許してくれるなんて思ってなかったから」

@俺
「ああ、頼むからそういう事言わないでくれ。ものっすっごい
不安になってきたから」

@女医
「すごい熱で、一週間も意識朦朧としてたの。その間の事も?」

@俺
「……そんな状況だったのか?」

@女医
「ええ。うわごとのように、結婚したい、結婚したいって」

@俺
「……」

@女医
「……」

@俺
「……ん?」

@女医
「……え?」

@俺
「……いや、そうか。その先を続けてもいいんだが」

@女医
「……黙れって言われたし……」

@俺
「いや、是非喋ってくれ。洗いざらい全てその悪行を」

@女医
「……でも、聞いたらきっと、あなた怒るから」

@俺
「ああ俺も多分、すさまじく激怒すると思う。っていうか
あなたとか呼ぶな気色悪いから」

@女医
「うわごとのように、結婚したい、結婚したい、貯金も何もかも
全部あげるし、稼ぎも全部あげるから結婚してくれと」

@俺
「……」

@女医
「それで、こんな状況だし私、もうどうしていいか解らなくなって」

@俺
「……」

@女医
「あなたの持ち物の中にあった家のカギ使って、部屋の中の物を
全て売り払って、車も処分して、あなたの実家にはあなたが死んだ
から、婚約者の私にあなた関係の保険とか全部任せてって言って、
それから会社の方には退職金の請求を」

@俺
「冗談だよな?」

@女医
「今の私が冗談の通じる状況に見えるんだったら、認識に
相当問題があると思いますよ?」

@俺
「……んな……馬鹿な……」

@女医
「忙しい一週間でした。年明け早々ですけど。あ、明けまして
おめでとうございます」

@俺
「……めでたくないんだが」

@女医
「いえ、だいぶめでたい系だと思いますが。富士山が爆発して
鷹がナスビに食べられる夢ぐらいめでたい感じがしますよ?」

@俺
「いいや、全くそうは思えない」

@女医
「照れ隠し?」

@俺
「キッパリと違うし。いや……ちょっと待て。やっぱおかしい。
いくら何でもそんなに上手く行くはずがない。嘘だ!」

@女医
「そうですか?」

@俺
「そうだろ!」

@女医
「そうかなぁ?」

@俺
「そうだって!」

@女医
「そう思います?」

@俺
「くどいな!」

@女医
「本棚の二段目の漫画の裏ですよね?」

@俺
「く……お……」

@女医
「実印、探したんですよ。もう家中」

@俺
「……おああ……」

@女医
「まさかあんなところにあったなんて……」

@俺
「……あああ……」

@女医
「印鑑と代筆屋さんがあれば、大丈夫。上手く行きますよ」

@俺
「うわあああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああ!!」

@女医
「あとは、この注射を打てば……」

@俺
「や、た、らめぇ……」

@女医
「大丈夫ですよ。今度は、量を二倍にしましたから。それに
絶対事故死で通りますよ」

@俺
「いやあああああああああああああああああああああ!!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


チュンチュン……

がばっ!!

@俺
「ああああああああああああああああああああ……」

チュンチュン……

@俺
「……典型的な朝チュン……これは夢オチフラグ……?」

そう呟く。意味もわからずに。

ぐっしょりと寝汗をかいていたが、目覚めたのはいつもと
全く変わらない自分の部屋だった。
少しくすんだ色の天井も、濃いオレンジ色のカーテンも、いつもと
全く変わらない。

身体の調子はいい。すっかり良くなっている。別に栄養失調にも
なっていないし、寝ぼけている以外では健康そのもののようだ。

夢……?

そうか。夢か……。

俺は溜息をつきながら、内心で苦笑いした。

嫌な夢だった。
心底嫌な夢だった。

しかし、夢ごときに振り回される自分が滑稽だったから。

……夢に溺れ、夢に溺死する。

まさにそれだ。

@俺
「ふぅ……全く。俺って、ホント……。まぁいいか。
TVでも点けるか」

枕元にあったリモコンの、電源ボタンを押してみる。
ぱつん、と音を立てて、TVの電源が入った。

画面が映る。

どこかの大きなホールのような場所に、着飾った若者達が嬉し
そうにしている様子が映し出された。
ニュース番組のようだが。

何気なくその光景を見つめる。

そう、何気なく。

……

@俺
「……」

TV画面を見て、俺は総毛立った。
その画面の意味を理解したからだ。

@俺
「……これは……」


……これは、

……この、催しは……


……そんな馬鹿な……!!

急いで、部屋のカレンダーを見る。カレンダーは12月のまま
だった。

1、2、3、4、5、6、7……

……

@俺
「……俺、なんで生きてるんだ?」

そのTVに映されている様子を見れば、今日が一体いつなのか、
容易に理解する事が出来た。

そう。


それは成人式だ。


@俺
「……」

 カチャン

びくっと、俺の身体が震える。
それは俺の部屋のカギが、外から開けられた音だった。

俺の部屋のカギを持っている人間は、俺以外にいないはずなのに。

俺以外の誰かが、ゆっくりと。

扉を開けようとしていた……。


<END>
<アクアノ(略)OFF決定のおしらせ>

とき
2008/12/29(月)
19:00〜


ばしょ
300宴や 百楽 池袋西口店

かね
一人頭3000円
寄せ鍋コース

きまりごと
今年後悔した物をひとつ持ってくる
みんなで交換して、嫌な気分を分け合う

すぺしゃるいべんと
今年一年を振り返る!
恒例 門司の年末スケッチブックトーク

もくひょう
遅刻者ゼロ

こうかいするひとたち
01 ふじかわさま
02 鈴木さま
03 オムさま
04 kurokoさま
05 ichigoさま
06 香月さま
07 TOKISAさま
08 かげさま
09 Bbさま
10 門司

実は各の頭についている番号は、プレゼントの抽選番号です
もう運命が決まっているwww

れんらくさき
連絡先を交換したい方は、メアド付けて管理人限定公開
コメントをつけてください。連絡用電話番号とメールアドレスをお教えします。
既に過年度参加している方で、もりあきの
080-xxxx-9861の番号、または
softbankのメアド
di.pdx.ne.jpのメアド
いずれかを知っている方は、そのまま使用できます。

では当日をお楽しみに。
(38)


ただ、歴然と。青黒い闇へ沈んだその景色の中で。遠い海鳴りの
声と、ささやかな海風を耳にしながら。

愛の言葉を思い出す。

愛の言葉を思い出してみる。

それはごく平凡であり、ごく退屈であり、ごく儚く。

愛は真実である。
しかし言葉は偽りである。
愛の言葉は、ゆえに偽りである。

この世の愛は、そのほとんどが真実である。間違いなく世界にあふれる愛の
数々は、たとえようもない美しさと、慈しみと、感動を持っている。

それは疑いようのない真実である。

それなのに。
言葉は偽りに満ちている。

愛の美しさに比べ、言葉は吐き捨てられた汚泥のような怨嵯に汚れ、
松の葉のような刺々しさに変わり、闇のように虚しく不愉快ですらある。

そうだ。つまり、
言葉は、愛を語れないのだ。
言葉の愛はすべて偽りなのである。

そして、この世には言葉としての愛があまりにもありふれている。

その中でもっとも信頼出来ないものの一つが
『文学』と呼ばれている。



ひどく疲れた思いで、藤ノ木ふたえは本を閉じた。点字で書かれた本は
彼女自身もさほど興味のない恋愛小説の類である。筆者の名前に
憶えさえなく、内容は平凡ですらあった。

ごく、ありきたりな不倫である。女が、自らの不実を認めながら医師である
義理の兄に対し、恋愛感情を抱くという物語だった。

ただの暇つぶしに読んでいる。元はといえば、みずほが誕生日プレゼント
として持ってきたものだった。言うまでもなく、みずほは点字の文章など
読めるはずがないのだから、内容は全く知らないだろう。

ふたえも内容については言っていない。知らなくてもいい。知った彼女は
笑うだろうか。あわてるだろうか。恥ずかしがるだろうか。だが、どうでもいい。

ふたえは深く感謝していた。
文字に触れられることで心は平静を取り戻すことができる。
文字に触れられることで、忘れていたことを思い出すことができる。

たとえ他愛のないものであったとしても。
ふたえには、過去を感じられる時間が限られているからだ。

それは過去だ。
文字はすべて過去である。そして言葉は時を遡らない。
だから……

だから、決して、できない約束を、してはいけない……。
言葉は過去を裏切ってはいけない。

その矛盾を、運命は許してくれない。
言葉は今を書き残しているだけにすぎない。言葉は未来を語れないのだ。


「……ふたえさん?」

声はやや遠くから聞こえてきた。それはふたえ自身、心証の比喩かと勘違い
するような形ではあったが、思い直す。遠くなどではない。遠くなどではない
のだ、と。

「高浩くん?」
「ああ、遅くなってごめん」

声は、やや陰りを帯びている。ふたえは微笑を作って、首を振った。

「美砂さんから連絡があったわ。みずほちゃんが、晩ご飯に招待したって」
「いや、それはどーなんだろうな……」

高浩は曖昧な感じで首を傾げる。意味は分からないが、ふたえは微笑んだ。

「仲良くなることはとてもいいことだと思うわ。あなたたち、どうも意地っ張りな
ところがあるもの」
「……」

高浩は雰囲気から、釈然としていない様子で、Railwayのテーブル席の
椅子を引き、腰掛けたようだった。

どこか遠慮がちに、曇った声で。

「みずほは、俺がふたえさんと会うのが嫌みたいだから」
「そうなの?」
「あ、いや、俺はそんな風には思ってないけど!」
「そう。良かった」

あわてて取り繕う表情が見えるような気がしていた。ふたえの、光のない
世界にも、その景色が映る。

「俺を引き留めるから。みずほは、何考えてるのかよくわからないよ」
「あんなに素直な子はそうそういないわよ」
「みずほが? 素直?」

鼻白む思いがした。

「ええ。気がつかないのかもしれないけど、あの子はとても素直なの」
「ひねくれてるようにしか見えないんだけど……」
「それは、高浩くんの色眼鏡ね。きっと」
「そうかなぁ……まぁ、それはともかくだけど」

咳払いを一つ。
どこか、この静かすぎる夜を引き払いたいような気分の中で。

「ずっと思っていたんだよ。俺は、本当にここに来るべきだったんだろうかって。
ここにいることで、誰がどんな幸せを見るだろうかって」
「高浩君は、今、自分のしたいことをしていないの?」

高浩は、首を横に振った。それが見えていないと知りながらもそうした。

「今は、これで良いと思ってる」
「なら、悩むことはないと思うわ」
「今はまだ、何も知らないからこのままで良いと思ってるだけかもしれない。
自分や誰かにとって、今、こうしていることが……今、ここにいることが、
望ましくないこともあるかもしれない」

高浩はもう一度首を振った。
自分自身でも、くだらないことだとは解っていながら。

「そんなことを言っても仕方ないって言いたいんだろ。ふたえさんは。そうだよ。
しょうがないんだ。誰も未来なんか解らないんだから、どうしようもない」

『多分そうなんだろ』
そう、高浩は付け加えたかった。

「そうね。誰にも解らない未来を、憂うことはないわ」

多分。
未来が解る人間などいない。

だからこの思考に意味がないと解っている。

「……」

まるで空気を飲み込むような重さで押しつけてくる、夜の闇へ向けて。
ぽつりと、高浩は呟く。

「みずほは、俺の背中に翼を見たと言ったんだ。そして、今日も」

ふたえは誰にでも解るぐらい、はっきりと。
表情に憐憫を浮かべた。

それが、高浩には辛かった。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


遊花はそこにいた。探していたのだが、ようやく出会えた。

夕暮れ時。雨をしのぐにはちょうど良いかもしれない。C62-32蒸気
機関車が眠る倉庫の中。運転台に彼女はいた。数年前にも、こうして
彼女に出会った。このまま、そう。いつまでだろう。
いつまでもだろうか。

安倉木智也は、タバコの吸い殻を放り捨てた。
ここの所有者は、いない。
この世のどこにもいない。
だから別に叱られる事もない。

「遊花」

彼女は運転台ですやすやと眠っていた。まるでその吐息自体が蒸気の
鼓動のように聞こえ、かわいらしい。

安倉木智也の声にも目を覚ます様子がない。その邪気のない少女の寝顔に
智也はつい表情をほころばせる。

「生き写しのように見える。本当に似てるな」
「……う……ん……」

瞼が少し動き、かすかに瞳が輝く。
人の雰囲気に気づいたのか、遊花は目を覚ました。

「……あれ? ……あ……」
「おはよう。遊花」
「おじさん!! 智也おじさん!」

胸の中に飛び込んでくる遊花を、智也は抱きしめた。長くここにいたのか、
オイルの匂いがかすかに染み着いている髪。
ぎゅっと、その頭を抱く。

「帰ってきたんだね! おじさん!」
「ああ。帰ってきたさ」
「遊花、待ってたんだよ! ずっと待ってた! 一緒に遊びたくて、ずっと
おじさんを待ってた!」

智也の腕の中で、何度も頬をこすりつけるように、その嬉しさを表現する。
温もりをかみしめるように。

「懐かしい。半年前だっけ。おじさん。探している人には会えた?」

遊花を見下ろして、智也は頭を横に振る。

「そっか……。見つかればいいね! じゃあ、おじさん。何して遊ぶ?
やっぱり運転士さんごっこ?」

無邪気な笑顔。
まるでそれは、長年探し続けている彼女のようで。

やはり、この子は。
学校にも受け入れられず、友人もあまり作らずに……。

喜びはその反動か。
それとも、父親を持たない少女にとって、それが単に嬉しいのか。

刹那。

真っ白い羽が。
花開くように伸びてゆく。

智也はそれを見つめていた。悲しみと喜びが折り混ざったような感情で
それを見つめていた。それは翼であった。紛れもなく、牧野遊花の翼で
あった。

遊花の背中に見える翼の、その純白の輝きを。智也は痛いほどに
見つめていた。

「そうだな。なんでも、遊花がしたいことをすればいいんだ」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「……!」

木桧みずほはテーブルに両手を叩きつけ、立ち上がった。
ついつい頭に血が昇って、のことである。他によぎる感情はとりあえず
無視するようにして、ただ、感情のみを表した形である。

それが解るのか、安倉木智也は彼女をなだめていた。驚くわけでもなく。

「みずほ。そう驚くことはない」
「驚くに決まってるでしょ。なに、じゃあ……お父さんは、遊花ちゃんに……
翼を見たって言うの!?」
「ずいぶん前からな」
「!!」

智也はトントンと人差し指でテーブルを叩いた。

「お前が見てないからといって、無いと思うな。世の中のものなんて、
見えているようで『大抵』見えていないんだ。見えているつもりになっている
だけだ。あまり、こだわるな」

カラン、と。
グラスの中でウィスキーに溶けかけた氷が断末魔の悲鳴をあげる。

高浩が帰ったあと。
食事が終わったあとのことだった。

木桧美砂は入浴している。今、ここにはいない。

みずほが、テーブルに広げたポテトチップに手も着けずに、父親のことを
じっと見つめている。何も聞き逃さないように。

「元気そうだった。だが、相変わらずだ。あの子は、ずっと疎まれて生きて
きたから。母親からも、父親からも。それを今更責める訳じゃないが……」

智也はリビングの天井へ向けて、タバコの煙を吐き出す。渦巻くように
虚空へ消えてゆく紫煙は、ただ、温もりも残さずに。

「なんで。あの子が。遊花は、翼を持っていたなんて。私、子供の頃から
遊花ちゃんを見ているのに、全然見えなかったよ」
「母さんにそんなこと言うなよ」
「言わないよ。でも、私には見えなかった。なんで? 答えてよ」
「……まぁ、そりゃ……そうだな」

智也は言いにくそうに、まごついた。

「なんていうか、好かれてないんだろうな」
「なっ……!」

普通に激高しそうになるみずほを、あわてて手で制す。
智也はひとつ、咳払いをした。

「勘違いするな。パパは、父親代わりとして好かれているんだ。それに
あの子は、簡単に本心を見せたりはしない。まるで心を許してない
相手には、翼など見えるはずがない。そもそも、そういうもんなんだ。お前が
見えるというものは。少なくとも、『人の心が読める』とか、『良い人が
解る』とか、そんな都合のいいものじゃないんだ」
「……耳にタコ」
「そのぐらい、お前が正しい解釈をしていないということだろう」
「むー」
「今更だが翼は」

一つ前置きして、智也は頬杖をついた。

「翼は、人の夢や希望や、意志の塊のようなものだ。『あの人にはオーラが
ある』とかよく言われるが、抽象化したそれを漠然と受け取っているのだろう。
子供の頃は誰でも素直に見えているが、大人になると見えたことも忘れる。
人の感性は、歳とともに鈍っていくからだろうな」
「私はどうせ子供だよ」
「まぁそれはそうだが」
「むー」
「むくれるなよ。それに、これも言ったはずだ。翼が見えることは……何も
良いことばかりじゃない。むしろ……」

翼を持つ人間も。
大人でも翼が見える人間も。

「……むしろ、な」

嘆息する。翼は受け継がれることもある。それは愛や、言葉で……。
それが戒めとなっていつまでも、その人生を縛り付けることにもなる。

その当人にとっても、それを追いかける人間にも。

「はぁ〜良い湯だった。みずほ、次入りなさい」

バスタオルで頭を拭きながら、木桧美砂がキッチン奥から出てくる。

「はーい」

みずほが返事して、立ち上がった。入れ替わるようにして美砂が
リビングに入ってくる。智也は口をつぐむ。
美砂は見るからに上機嫌で、話しかけた。

「智也も、しばらくぶりの家のお風呂。嬉しいでしょ」
「3番風呂なのは歓迎されてない証拠みたいなもんかな」
「なにいってんの。誤解よ。ただの仕返しだもん。いつもいつもロクに
連絡も寄越さない旦那様への。あはは」

飲み物を取りに行く後ろ姿を見送って、そしてつい、うつむいてしまう。

美砂はわからないだろう。
見えない人間には何も解らない。

あの時。
安倉木智也が見たものは。

「その意志は、夢は、早産で死にかけていた遊花を奇跡的に救った……
受け継がれていたんだ……遊花に」

確かにそれは、過去に一度見たものだった。そう、ずっと前。十数年も
前に。

「あれは遠い昔に、俺の母親が持っていた翼だ」

そして、ずっと昔に消えてしまった少女と同じ形の翼だった。
黙して両手で顔を覆う。
両方の手のひらは、酒のせいか熱く火照っている。

安倉木智也がずっと探し続けている女性。彼女は、智也の母親から
翼を受け継ぎ、そしてまた、その翼を遊花に引き渡した。

智也の母親がそうしたのと同じように。

ならば彼女は、もう帰ってこない。

そう。三ツ葉風夏は、翼を失ってしまったのだから、もはやどこにもいるはずが
ない。

「なら……どうしてだ。探し続けて……まだ……」

自嘲した。
だから、言っているんだ。

翼が見えることなんて、決して幸福なんかじゃない。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


20時をだいぶ過ぎて、もうすぐ21時を迎えようとしている。
藤ノ木ふたえは、帰りがけに立ち止まった。

雨はだいぶ前に上がった。今はその光沢が、あらゆる夜の中で息を
潜めている。音もなく、じわりと。風の中にさえも。

切れ切れの雲間から覗く星たち。

「語る言葉には何も宿らないかもしれないわ」

それを見上げながら彼女の傍らを歩く高浩に、彼女は告げた。突然。

「え?」
「本に書いてあったの。そう。なんだか、救いがない話よね」

高浩はどう返していいものか解らず、押し黙って。

「語る言葉に何も宿らない。愛情も、未来も、夢も、言葉の上では空虚で
何の価値も持たない。でも、人は信じようとするの。信じたいと願うの。あっと
いう間に消えてしまう声という音を、信じて、それを願う」

高浩に聞かせるために、藤ノ木ふたえは語っているのだ。
ただそれだけのために。

「それって、あまりにも儚いことなの。私も、たくさん裏切られてきた……
それと同じぐらい、私も裏切ってきた、と思う。でも、私にはできなかった。
ひとえ姉さんのようにはなれなかった。約束を守り続けることができなかった。
そして、これからもできるかどうか、自信がないわ」
「何のことかはわからないけど、ふたえさんが出来ないことなら誰だって
出来ないと思うけどな」

立ち止まる。
つられて、高浩も。

闇の中。しっとりとした海風の吹く中で、藤ノ木ふたえは振り返りもしない。

「あなたならきっとできる」

少なくとも、その言葉は強く聞こえた。
風よりも。遠い波音よりも。

優しい彼女の声がその時は強く、大きく聞こえた。

「あなたならきっとできるわ。高浩君になら。私たちができなかったことも、
きっとできる。だって、高浩君は自分だけの翼を持っているんだから」


藤ノ木ふたえは再び歩き出した。
彼女の小さな背中を見つめていると、急に彼女が、年相応の大人だと
気づかされる。

高浩は、問わなかった。そして頷きもしなかった。

それに満足したのか、藤ノ木ふたえの歩調は、ずっと軽くなったように
高浩には見えた。


心は伝わる。だから、言葉はいらない。


(38)終

(39)へ続く


@お忙しい期間
「何勘違いしてるんだ?
まだ俺のバトルフェイズは
終了してないぜ!」




もうやめて

もりあきのらいふはとっくにぜろよ

・・・
・・・
ああ…大きな星が点いたり消えたりしている。
ハハ大きい…彗星かな? 違う、違うな……
彗星はもっと、バアーッて動くもんな……アハハウフフ

もぉ〜泣かないで〜
いま〜あ〜なたをさがして〜る〜
ひとが〜いる〜から〜

誰にも会いたくねーよ!!
今年も一年、私のブログにお越し頂き
本当にありがとうございました。

毎年恒例ともなりましたが
きたる2008年12月29日(月)、夜19時ごろを予定に
『4日遅れ年越しクリスマス アクアノートの年末OFF』
を行います。

今年も老いも若きもふるってご参加ください。
内容は例年通り、おいしい物を食べながらのトーク座談会となります。

会費 3000円〜4000円程度 
(二次会もあり)

場所 池袋(なぜかこれだけは譲れないjapan)

参加に差し当たって、去年同様、楽しいクリスマスプレゼント交換会が
あります。
(昨年度テーマ・思わず目を覆いたくなるような悲惨なもの)

本年度のプレゼントテーマは

後悔

です。
条件に見合ったクリスマスプレゼントをご用意下さい。
(例・勢い余って購入したクル・ヌ・ギ・ア なにいろアスタリスク!10冊等)

参加希望の方は12月15日までに
等ブログのコメント等で『参加希望』とお書き下さい。
たくさんのご参加お待ちしています。