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2009年度クリスマス小説

2009年度クリスマス短編小説

毎度ご愛顧有り難うございます。
今年もこの日を迎えました。
皆様、クリスマスを楽しく迎える予定でしょうか。
恋人と過ごす方も、
姉ヶ崎寧々たんとちゅっちゅして過ごす方も
ヤンデレの幼なじみとウサギに包帯巻いたりして
過ごす方も、良いクリスマスをお迎えください。





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

『ドリーミングクラブ』



『ジングルベール♪ ジングルベール♪
鈴っがーなるー♪』


という歌がある。
鈴というのは、ペットの首輪などにもつけられるとおり、
隷属、屈服を表し、鈴が鳴るということは虐待を受けている
様子を表している。あの鈴が鳴る度に、奴隷は鞭を打たれ
悲痛な叫びを上げているのだが、もちろん曲中には描かれ
ない背景である。

サンタ・クロースの赤ずくめの格好が共産主義の象徴である
ことは、もはや世界の常識とすら言える。あのアカの手先は
1950年代の北米では似た格好をしているというだけで撃た
れたという。
santa.jpg
  ↑
こんな風に

『よい子の元に現れて、プレゼントをくれる』というのは食料
などの配給チケットを指している。従順でなければ生活の保障は
ないのである。
クリスマスが近づいて、その歌が流れる度に俺は貧困にあえぐ
民衆と、強欲な為政者の姿を思い、人知れず涙を流す。

赤い服を着た白いヒゲの老人は、邪悪な笑みを浮かべながら
こう言うのだ。
『君たちは平等だ。私は君たちにプレゼントをあげよう』

狂ってる。
人類が平等なものか。
平等という言葉を使う時点で、そこに『差別』はあるのだ。
差別がなければ平等などない。
平等でないから、人は平等平等とわめき散らす。
だから俺は平等という言葉を信じない。

クリスマスは偽りの平等と飢えに満ちている。

だから、クリスマスを一緒に過ごす彼女がいないことは
何の恥でもない。
『赤』に染まっていない。むしろ、そのことは勝利に近い。
なにしろ愛という言葉がまさに嘘くさい。
『赤』に染まった奴らはみんな、愛を言葉尻に挟む。

有り得ない。

平等に施されることがないそれを、得た時点で犬である。
愛の家畜である。家畜は枯れるまで搾られて殺されるか、
歯の曲がったノコギリで均等に切り分けられて売り払われる。
というか、家畜とはそうでなければならない存在である。


つまり、クリスマスを祝うと、共産主義者となり、
飢えに苦しみ、鞭で打たれ、差別され、
銃で撃たれた後にバラバラにされる。



ということになる。
孤独か銃か。俺なら迷うことなく孤独を選ぶさ。

邪悪なクリスマスソングが流れる街の中を、そう呟きながら
歩いていた。つまり、寂しいとかそういう感情は考えてはいけ
ない。考えたら負けだ。

クリスマス・イブのこの日。
街は共産主義者どもで溢れかえっている。

そんな狂気をどうにか振り払うように、俺は一件のお店の
ドアを開けた。

(ドアベルの音)

@女の子
「いらっしゃいませぇー♪ メリークリスマース!」

ミニスカで胸元がパッカリ開いた、これでもかというぐらい目元を
加工したサンタのおねえさんがいた。

@俺
「こんばんは。メリークリスマス」

@入口の女の子
「おひとりですかぁ?」

胸元でわざとらしく握りこぶしなど作って、小首を傾げてみる
入口の女の子。これ以上ないぐらいわざとらしい仕草だが、
それはそれで悪くない。

@俺
「うん」

@入口の女の子
「コートお預かりします♪ どうぞ中へ~ いちめーさま入りますー
ご指名ありますか?」


@俺
「じゃあ、適当で!」

@女の子
「オッケーわかりましたぁ! じゃあ指名率ナンバーワンの
トコブシちゃんで! トコブシちゃーん!」


@俺
「すげー源氏名だな」

まぁ気にすることはない。指名率ナンバーワンだし。

ボーイに案内され、俺は座り心地のよい柔らかなソファーに
身を投げ出した。

ふぅ……。

薄暗いクラブの明かりの中で、豪奢なミラーボールだけが
きらびやかだ。

そして、俺は自分自身の考えに頷いた。

やっぱり、クリスマスの夜は女の子と過ごすべきだろう。

クリスマスはキリスト教のお祭りとか商業主義とかなんとか言って
孤独に過ごす奴は虚しい。

クリスマスを祝って何が悪いというのか。サンタのコスプレをした
ミニスカのおねーさんを見てみろ。

いいじゃないか。

すてきじゃないか。可愛いじゃないか。
愛らしいじゃないか。

そう、愛。愛だよ。クリスマス・ホーリーナイトは愛に満ちている。
愛が全てさ、とハウンド・ドッグも歌ってたじゃないか。
愛がない感じでバンドは解散したが。

ともかく、楽しく過ごせばいい。というわけで、今日は大枚をはたいて
友人曰く、『都内で5本の指に入る』というキャバクラ『ドリーミング
クラブ』へ足を運んだのだった。

@トコブシちゃん
「こんばんわぁ。トコブシでぇす

@俺
「いやぁ、なんかホント妙な名前だけどすげー美人だしさすが
指名率ナンバーワン……」

@トコブシちゃん
「え、なんですかぁ? えへっ」

@俺
「……」

@トコブシちゃん
「え? え? どうしちゃったんですかぁ? トコブシの顔、
そんなにジッと見つめちゃやですぅ恥ずかしいですよぅ」

@俺
「お前は……お前は! 一昨年のクリスマス去年のクリスマス
の女!?」

@トコブシちゃん
「はっ!? な、なに。私の秘められた過去を知っている人!?
マネージャーを呼んですぐに歯の曲がったノコギリでバラバラに
しないと
……!」

@俺
「俺のことを忘れたのか! いや、別に忘れててくれていいが」

@トコブシちゃん
「……」

@俺
「……」

@トコブシちゃん
「……はっ、あなた、もしかして……」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

2年前
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~~~~~~~~~~~~~


@過去の彼(20歳頃)
「パーマをかける君の手つき……美しいよ」

@過去のトコブシちゃん(18歳頃)
「やだ、お客さんのバカ……そんなこと言われたら、大腿骨の
あたりにビクンビクンって電流が走って
、足の裏に汗かいちゃ
う……」

@過去の彼(20歳頃)
「僕と付き合ってくれるかい? 港の見える港で、オフコースの
『愛を止めないで』
を掛けながら一緒に車中泊しないか」

@過去のトコブシちゃん(18歳頃)
「まぁ素敵。もうどうにでもして……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

1年前
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~~~~~~~~~~~~~


@過去の彼(25歳頃)
「俺が体調崩しても、君が医者だから心配ないね」

@過去のトコブシちゃん(19歳頃)
「大丈夫。私、猛勉強してまちゃちゅーちぇっちゅ大学
博士号取った学者だから、あなたの体調なんて全て一瞬で
治療したあげる。元気になりすぎて中央線に飛び込んじゃう
かもしれないわね。うふふ」

@過去の彼(25歳頃)
「愛してる……トコブシちゃん」

@過去のトコブシちゃん(19歳頃)
「私も……ねぇ、今、ここでしない?

@過去の彼(25歳頃)
「え、こ、ここでかい!?」

@過去のトコブシちゃん(19歳頃)
「ダメ?」

@過去の彼(25歳頃)
「もちろんいいよ……ああっ、ドキドキするね

@過去のトコブシちゃん(19歳頃)
「ああっ……夜の病院でこんなっ……肌を触れ合わせながら
……ファイナル電撃イライラ棒をプレイするなんてドキドキ……
だめっ、いっちゃう……! いっちゃうぅぅ!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

半年前
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

~~~~~~~~~~~~~


@過去の彼(28歳頃)
「ほら見てごらん。僕たちの子供だよ」

@過去のトコブシちゃん(17歳頃)
「まぁ! 見て。鼻の穴があなたそっくり

@過去の彼(28歳頃)
「そうかな。金髪で目が青いところなんか君そっくりだよ」

@過去のトコブシちゃん(17歳頃)
「ねぇ、あなた、幸せ?」

@過去の彼(28歳頃)
「ああ、幸せだとも」

@過去のトコブシちゃん(17歳頃)
「そうだわ。この子の名前なんだけど」

@過去の彼(28歳頃)
「うん」

@過去のトコブシちゃん(17歳頃)
「大きな事を成し遂げてねっていう意味を込めて、
『革命子』って名前で、読みは『テロルこ』

@過去の彼(28歳頃)
「良い名前だね」

@過去のトコブシちゃん(17歳頃)
「でしょ? 大きく育ってねテロル子……」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


@トコブシちゃん
「出会った時からのこと、想い出しちゃった……ふふっ。
懐かしいね」

@俺
「いや、懐かしめる内容が全く無かったし、そもそも記憶と
一つも合致しなかったんだが」

@トコブシちゃん
「その後、あなたは同性愛に目覚めて私を捨てた」

@俺
「お前が目を覚ませ」

@トコブシちゃん
「あなたに捨てられた私は落ちぶれて、水商売に身を投じた。
もう何もかも失ってしまって、自暴自棄になってた。これとこれ

@俺
「捨てるも何も拾ってもいないから」

@トコブシちゃん
あとこれ。そして気がつけば指名率ナンバーワンになって、
ポルシェを貰ったり品川のマンションをプレゼントされたりする
毎日……。銀座の値札のない寿司屋で、泣いたこともあった」

@俺
「ワサビが効いたんだろ」

@トコブシちゃん
「どうして今更、私に会いに来たりするの……? 私を困らせて
楽しいの? あ、これも

@俺
「困ってるのかどうかは知らんけど、さっきから何勝手にボーイ
呼んで勝手に注文してんだよ。てか、今指さしたの何だ」

@トコブシちゃん
「18万円のシャンパンだけど」

@俺
「ロードローラーで18回轢いてやろうか。そんなもんキャンセルだ
キャンセル」

@トコブシちゃん
「高いお酒を頼む男の人って、ちょっとカッコいいかも」

@俺
「頼んでねぇよ。てか、帰る」

@トコブシちゃん
「どうして帰るの!? まだ時間、50分も残ってるじゃない!」

@俺
「なぜあと50分も殺意を我慢しなきゃいけないのかわかんない
から」

@トコブシちゃん
「待って! 話を聞いてよ」

@俺
「なんだよ」

@トコブシちゃん
「私はプロだから、過去にどんな忌々しい事があっても、クリスマス
にキャバクラに来るような、いわゆる金の力でしか女と会話も
出来ないコミュニケーション欠格者
のあなたが、みすぼらしく
一杯10円の工業用アルコール飲んでたとしても、きっと遠くから
半笑いで見つめたりせずに
お相手できると思うの」

@俺
「帰る」

@トコブシちゃん
「どうして帰るの!? 私が何か気に障るようなこと言った?」

@俺
「いや、気に障ることしか言ってないよ

@トコブシちゃん
「ごまかさないで!」

@俺
「ごまかしてねぇ」

@トコブシちゃん
「お客さんを途中で怒らせて帰らせたりしたら、私の給料査定
が大変なことになるじゃない。もしそんな事になったら、前々から
買いたかったハンドバッグが買えなくなるでしょ。どう落とし前
つけるのよ!」

@俺
「知るか。毎度毎度、いい加減その人を小馬鹿にするような
発言を改めろと言ってるんだ」

@トコブシちゃん
「……故郷に、両親が」

@俺
「……は?」

@トコブシちゃん
「お父さんが病気で……お金が必要なのよ」

@俺
「……」

@トコブシちゃん
「治療費を稼がないと……お父さんは……」

@俺
「いや、そりゃあ……」

@トコブシちゃん
「誰もやりたくってこんな事してないんだから……!」

@俺
「お父さん……重い病気なのか?」

@トコブシちゃん
「5年前から水虫なの」

@俺
「ブテナロック買えよ」

@トコブシちゃん
「さぁ、身の上話で会話が盛り上がってきたところで」

@俺
「いや、帰るから」

@トコブシちゃん
「帰るのは2時間後でも良いじゃない!」

@俺
「さりげなく1時間延長してんじゃねぇ」

@トコブシちゃん
「お酒でも飲めば嫌な気分も吹っ飛んじゃうよ。何か飲もう。
一杯だけ付き合ってくれればいいから。ね」

@俺
「……しょうがないな。じゃあ一杯だけ」

@トコブシちゃん
「じゃあ、私、このマッカラン30年。ボトルで6万円

@俺
「おい」

@トコブシちゃん
「あなたは麦茶でいい?」

@俺
「俺より高い物を頼むな!! いやそれ以前に酒じゃねぇ!」

@トコブシちゃん
「あ、ごめんね。そうだよね。じゃあ私、響17年にグレード落と
すね。あなたはでいい?

@俺
「俺まで落とすな!!」

@トコブシちゃん
「水よりグレード落とすのは無理ってもんでしょ。泥水?

@俺
「そうじゃなくてなぜ俺の方が水でお前が酒なんだ」

@トコブシちゃん
男は酒に酔い、女は雰囲気に酔うってよく言うでしょ?」

@俺
「だから何だ」

@トコブシちゃん
「だから私が高いお酒を飲むのは仕方がないじゃないかな?
えへへ

@俺
「えへへじゃねぇ」

@トコブシちゃん
『3年連続でクリスマスをこうして二人っきりで迎えられるなんて
やっぱり運命の人かもしれない。その時私はそう思ったけど、まさか
翌日の朝を、彼の腕の中で迎えるなんて……少し後悔しています。
どうしたらいいでしょう?』
ってYahoo!知恵袋に書き込んだら
釣れるわ釣れるわ

@俺
「やめろ。それはやめろ。考えただけでちょっと気持ち悪い」

@トコブシちゃん
「あ、そんなこと言っているうちにお酒来たよ。はい」

@俺
「え? 俺いつ注文した?」

@トコブシちゃん
「私がさっきボーイさんが来たときに、『明日は晴れるかなぁ』
ってさりげなく呟いたのが注文のサインだったんだけど」

@俺
「お前は房州さんかよ」

@トコブシちゃん
「はいかんぱーい」

@俺
「……乾杯」

@トコブシちゃん
「髪切った?」

@俺
「笑っていいともじゃないんだから妙な振り方はやめろ」

@トコブシちゃん
「こう、なんか盛り上がる話をしていこうと」

@俺
「……えーっと、その、聞きたいことがある」

@トコブシちゃん
「え、なになに? 虫歯の本数?」

@俺
「聞きたくねぇよ。その、源氏名だが」

@トコブシちゃん
「ああ、なんだ。そんなこと?」

@俺
「なんでトコブシなんだ」

@トコブシちゃん
「だって、アワビだったらあまりにも卑猥すぎて、酔っぱらった
オヤジとかが『アワビちゃんのアワビはどうなってんのかなぁ?
ちょっとおじさんがペロペロって味見してあげるよゲヒヒヒ!』

とかいう展開が容易に想像できちゃうでしょ。それがトコブシ
だったら『トコブシさんのトコブシ、舐めてもよかですか』
なって、ちょっとかっこいいかなって感じに」

@俺
「かっこいいか? いや、それよりなぜ博多弁に」

@トコブシちゃん
「それにこのお店の女の子はみんな名前が海関係なんだよ」

@俺
「ほう」

@トコブシちゃん
「あの子がマリンちゃんで、あの子はワリンちゃん、あの店員
さんがサム君であの子がウリンちゃん」

@俺
『海物語』じゃねぇかよ! ウリンって何だよ!」

@トコブシちゃん
「マリンちゃんの妹でしょ?」

@俺
「そこ聞いてんじゃねぇよ」

@トコブシちゃん
「あ、じゃあ今度は私からの質問でーす」

@俺
「……はいはい。なんですか。どうせロクな質問じゃない
だろうけど」

@トコブシちゃん
「逮捕歴はあるの?」

@俺
「ホントにロクな質問じゃねぇな」

@トコブシちゃん
「ちょっと答えにくい質問だったかなぁ?」

@俺
「ちょっとか?」

@トコブシちゃん
「じゃあ質問2。リンキン・パークのチェスターは病弱すぎると
思いませんか?」

@俺
「知らねぇよ」

@トコブシちゃん
「質問3。ねぇ、私のこと……好き?

@俺
「嫌い」

@トコブシちゃん
「あれれーおっかしいなぁー。この質問ラッシュの最後の最後で
ドキッみたいな展開、得意中の得意なんだけど。はぐらかされ
ちゃった」

@俺
「明確に即答したが」

@トコブシちゃん
「お互いにいい感じで親密度が上がってきたところで、そろそろ
ゲームでも」

@俺
「やんないし。どうでもいいけど、客入ってきてるのに全然指名
被らないのはなんでなんだ。さっきから30分も居座り続けて
いるが」

@トコブシちゃん
「愛?」

@俺
「違う」

@トコブシちゃん
「じゃあゲームのルールはね」

@俺
「やらねぇと言ってるだろうが」

@トコブシちゃん
「両手を出して、右手にアメ玉を一つ。左手には何も持たない。
で、両手をグーにする。ほら、やってやって」

@俺
「……はい」

@トコブシちゃん
「で、両手を相手と合わせるようにして、アメ玉をお互いの
左手に同時に渡すの。渡せなかったほうが罰ゲームね」

@俺
「……?」

@トコブシちゃん
「はいスタート。じゃんじゃんじゃんじゃん♪

@俺
「いや、おい」

@トコブシちゃん
「はい手に取って取って」

@俺
「……取った」

@トコブシちゃん
ぽいっ はい私の勝ち」

@俺
「いや」

@トコブシちゃん
「私の勝ち。あなたの手のアメ玉は渡せなかったでしょ」

@俺
「渡せなかったんじゃなくて、明らかに手に取ってから
投げ捨てただろうが!!」

@トコブシちゃん
「えー」

@俺
「えーじゃねぇ! そもそもルールが変だろ!」

@トコブシちゃん
「いるよねー。負けそうになったらルールがおかしいとか
言い出して空気悪くするやつ」

@俺
「……」

@トコブシちゃん
「まぁまぁ。ゲームだから。そんな思い詰めた殺人鬼みたいな
目しないで」

@俺
「相手を好きなだけ殴れるゲームだったら喜んでやるんだが」

@トコブシちゃん
「罰ゲームは、そうだなぁ~」

@俺
「罰ゲームはあるのかよ」

@トコブシちゃん
「結婚してくれる?」

@俺
「嫌」

@トコブシちゃん
「……」

@俺
「嫌」

@トコブシちゃん
「……ふふっ、そう言うと思った。あーあ。フられちゃったな」

@俺
「いや、そんな90年代の恋愛ドラマみたいな芝居じみた
リアクションいらないから」

@トコブシちゃん
「あー明日は晴れるかなぁ」

@俺
「追加注文すんなよ」

@トコブシちゃん
「クリスマスだってのに怒ってばっかりだね。もっと楽しそうな
顔すればいいのに」

@俺
「出来ればそうしたい」

@トコブシちゃん
「なんか、クリスマスが嫌いとか?」

@俺
「……」

@トコブシちゃん
「いるよねーたまに。『サンタは赤いから共産主義者だ』とか
わけわかんないトンデモ理論とか持ち出して批判するとか
本当にしょうもないっていうか、友達少ないってことを自ら
アピールしているとしか思えないっていうか、クリスマス批判
しなきゃアイデンティティ保てない矮小でつまんない男って
ほんと気持ち悪いっていうか、出来れば死んで欲しいって
いうか」

@俺
「……」

@トコブシちゃん
「あれれ? どうしたの? なんか顔色が赤から黒っぽくなって
くるぐらい変色してるけど。うんこ我慢してるの?」

@俺
「帰る」

@トコブシちゃん
「まだあと10分残ってるじゃない」

@俺
「その10分をここで過ごすと、年末は留置所で過ごすことに
なる可能性が高い」

@トコブシちゃん
「まさか食い逃げ?」

@俺
「金ぐらい払うわ! とにかく、もう帰る!」

@トコブシちゃん
「何がそんなに気に障ったの。謝るから」

@俺
「いや、謝られても全く許す気にならないんだこれが」

@トコブシちゃん
「じゃあ謝らないけどさ」

@俺
「……」

@トコブシちゃん
「照れたからってそういう風に怒ったフリするの、やりすぎたら
逆効果だと思う」

@俺
「なんで俺の言動を見てそう思うのか全く理解できない」

@トコブシちゃん
「さて、仲直りしたところで」

@俺
してねぇ。帰るから本気で」

@トコブシちゃん
「ちょっと、待ってってば」

@俺
「いーや、今度という今度は絶対に帰る。二度と来るかこんな
店に」

@トコブシちゃん
「待ってよ!」

@俺
「嫌だ」

@トコブシちゃん
「おなかにあなたの子供がいるの!!」

@俺
「いるか!!!」

@トコブシちゃん
「ひどい!! あんなことしておいて!!」

@俺
「ひどいのはお前の頭だ!!」

@トコブシちゃん
「……」

@俺
「……」

@トコブシちゃん
「……お店の人に聞こえちゃったね」

@俺
「わざとだろうが!!」

@トコブシちゃん
「うれしい?」

@俺
「うれしくない」

@トコブシちゃん
「あなたもついに二児の父ね」

@俺
「いつ一児がいた」

@トコブシちゃん
「革命と書いてテロル子……」

@俺
「役所で認められるかそんな名前。日本赤軍かと思われるぞ」

@トコブシちゃん
「あ、そろそろ時間みたいだけど延長してくれるよね?」

@俺
「しません。帰ります」

@トコブシちゃん
「延長入ります」

@俺
「死ねばいいのに」

@トコブシちゃん
「あー、ちょっとちょっと、待ってよ」

@俺
「会計しに行くんだよ。邪魔するな」

@トコブシちゃん
「この肘に当たる膨らみを感じて、何も思わないの!?」

@俺
「あーはいはい良い感触です」

@トコブシちゃん
「パッドの感触がそんなに良い感触なの?w」

@俺
「会計お願いしますできるだけ早急にマッハで。あと俺に
しがみついているこの馬鹿を2秒以内に引きはがさないと
警察呼ぶんで」

@黒服
「1万3千350円です」

@俺
「高くないか」

@トコブシちゃん
「チャームチャージ?」

@俺
「どこにチャームがあった」

※(注)チャームチャージ(C.C)は北海道では一般的です

~~~~~~~~~~~~~~~~~

@トコブシちゃん
「これ、私の名刺」

@俺
「いらん」

@トコブシちゃん
「そんなこと言わないで、お守りだと思って」

@俺
「わかった。神社で焼いてもらう」

@トコブシちゃん
「またまたぁ。そういう強がりを言うところが好き」

@俺
「……」

なぜ毎年、クリスマスにひどい目に遭うのか。
それは確かに、呪われているのかもしれない。
神社に行くのは正解かも。

店の外は、ちらちらと雪が舞っていた。

白いクリスマス。
人通りの多い繁華街の歩道で、見上げた俺の頬に
雪が触れる。
その冷たさが、どこか物悲しく。

右手に握りしめ、くしゃくしゃになった名刺。
それを開いて、見てみた。



『指名率ナンバーワン・トコブシ』

@俺
「名前の一部かよ!!!!!」



その後、名刺は高野山の住職に性根抜きして焼いてもらった。
1万円取られた。


来年は、良いことがありそうな気がする。
少なくとも、今年よりは。



今年よりひどい年なんか
来るわけがないだろ。



<END>
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COMMENT

気づいてしまったら言わずには。
バックナンバー読んでて気づきましたが、クリスマスカットは2006(3年前)ですよ。
なんか毎年の定番になってた気がしました、おととしやってないんですね。
ただ、トコブシちゃん時空わたってるしおととしでもいいのかも知れませんね。

Yahoo知恵袋に本当に書き込んだらどうなるだろう、うっすら思ってしまうのは危険でしょうか?
きっと来年も少なくとも今年と同じぐらいひどいクリスマスイブが来る、そう信じております。

| 翡翠 | 2009/12/24 00:45 | URL | ≫ EDIT

ややこしいですが、物語中は3年連続ということで
抜けた年は計算に入ってません
去年何してたんだ? って話になるので。

| もりあき | 2009/12/24 00:52 | URL |

>今年よりひどい年なんか
>来るわけがないだろ。

来年のクリスマスはさらに凶悪にっ……!
  期待……!

都内で五指に入る『ドリーミングクラブ』
友人ワラタ。というか友人いたんだこの人w

| 鈴木俊一 | 2009/12/26 08:37 | URL | ≫ EDIT















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