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飛行機の中

インターネットできる!


しかも前は千円ぐらい取ってたのに無料になってた
いいね

ちなみに乱気流でくっそ揺れて草

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東京へ

飛行機乗りまーす


遅れそうになった…危ない危ない

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アクアノートの平日オフ2017開催まとめ

アクアノートの平日オフ2017

明日開催!

なんかこの店空いてるんで明日当日参加も出来るかもしれません。

主題
ゲーム会社が静止する日

【副題】
『VR革命2 バーチャルYouTuber』

(変更)

とき :2017年12月30日(土) 20時から
ところ:味蔵 新橋店
味蔵 新橋店
050-5590-3271
東京都港区新橋3-15-8 精工ビル 2F
https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130103/13191270/
予約名:モリタ

予算 :3000円 消費税分はおまけ!(誤差)
備考 :2時間飲み放題&もつ鍋コース!


○ゲームのことなどを楽しく語らう会です

○年一回の催しです

○門司の個人講演のようなものです。どなた様もお気軽にご参加ください。

◎今年は門司がめでたく業界(?)20周年ということもあり
 スペシャルトークとすることにしました。
 トーク内容はずばり

 『ゲーム会社はこうして倒産する』
 ですが
 資料作ってて想像以上に重いので、二本立てにしました。
 
『VR革命2 バーチャルYouTuber』

  お 楽 し み に !



現在の参加者
もりあき
ふじかわさん
kurokoさん

3名

では、よろしくお願いします!

| 閑話休題 | 20:45 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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アクアノートの平日OFF 開催決定!(内容と場所も決定)

アクアノートの平日オフ2017

12/27更新
【重要連絡】
4人以上の席なんですけどあと一人二人
誰か来ませんか?




主題
ゲーム会社が静止する日

【副題】
『VR革命2 バーチャルYouTuber』

(変更)

とき :2017年12月30日(土) 20時から
ところ:味蔵 新橋店
味蔵 新橋店
050-5590-3271
東京都港区新橋3-15-8 精工ビル 2F
https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130103/13191270/
予約名:モリタ

予算 :3000円 超過したぶんはもりあき責任払い
備考 :2時間飲み放題&もつ鍋コース!




○ゲームのことなどを楽しく語らう会です
○年一回の催しです
○門司の個人講演のようなものです。どなた様もお気軽にご参加ください。
◎今年は門司がめでたく業界(?)20周年ということもあり
 スペシャルトークとすることにしました。
 トーク内容はずばり

 『ゲーム会社はこうして倒産する』
 ですが
 資料作ってて想像以上に重いので、二本立てにしました。
 
『VR革命2 バーチャルYouTuber』

  お 楽 し み に !



現在の参加者
もりあき
ふじかわさん
kurokoさん

現在3名

| 閑話休題 | 22:00 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

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Way to the Blue 52


それは、いつか見た夢の話。



人を繋ぐ輪。円環が広がり、美しく等しく、
明るく世界を照らしていた。仮にそれは、悲劇にさらされることが
あっても、揺らぎなく回り続ける円環がそこにはあった。
強く伸び、絡みつき、互いに支え合う植物のような姿に見えた。

大地が、風が、海が、ここにある。
心に深く刻みつけられていく。
鮮やかに、ゆるやかに、優しく。


そこは、私にとって聖域だった――。



言葉もなく鎮座する鉄(くろがね)。
褪せたキャンパスに描いた素描画のような魂。
かつては――

かつては、世界中に轟くような轟音を上げて疾走していた
蒸気機関車「シロクニ」は、その身を横たえるようにして、
この聖域で息絶えていた。

聖域は静謐だった。
その場所で時は、痩せたモノクローム色の瑠璃瓶に封じられ、
ゆっくりと朽ちていった。私の、いや私たちの命は、その場所では
終わりなくゆっくりと燃え続けた。その温かみが空間に満ちている。
だからその場所は聖域だった。

青くきらめく、深淵まで続く海。青く哀しく、手の届かぬ
遥か彼方まで続く空。終わりなく続くように見える世界。だが、
決して無限ではない。無限などではない。
矛盾している二つの面を、皮肉にもこの聖域が物語っている。


永遠などない。

だから、永劫など祈らない。

私たちは生きた。『だから』私たちは死ぬのだ。
死ぬということは――


聖域には、風の音に混じり感じる、そんな意味が漂う。


――死ぬということは

     忘れることだ。――


私たちは永劫など祈らない。

誰かの生のため、

誰かの死のために祈る。

消え去り、忘れてゆく運命のために……。
朽ちていく時間そのものに……。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~











    <Way to the Blue 52>









病院のベッドの上で眠る遊花の頬を、涙が伝う。
午前4時の病室。
そこにいるのは、ただふたりだけである。

きっと彼女は、夢を見ているのだろう。
儚く、悲しい夢を見ているのだろう。

我が娘を見守る楓の胸中は、静かに、ただ静かに震えていた。


――いや、そんな生易しいものでもなかったかもしれない。
それは煮沸にも似た、神経の粟立ちだった。

人間というのは、忘れることを願うときに、それを一筋の涙に
変換する。感情を持つ動物が、唯一行える行為。
甘く訪れる記憶の死に手向ける涙。

蒸発して、跡形もなく消え去る、涙。



悲しみと別れが、この世界を支配している。
人は、それを忘れることで生きてゆけるのかもしれない。

遊花のように。


だが、それが幸せかどうかはわからない。
わかるわけがない。少なくとも、私には。

私には、辛い記憶を捨て去ることにこだわる必要がなかった。
所詮は自分勝手に生きた人生だった。その中で選び、
その中で失敗し、その中で悲しみを覚えたことを、一体どうして
悔いることがあるのか。思えば幸福な人生を歩んできた。

なぜなら……。

楓は涙を流す娘を、どこか遠くの心境で見つめた。

なぜなら、自分には守るべき何者かがいたからだ。
そのために捨てられるものは捨てても構わなかった。
それはスタンダードだった。分水嶺のようなものだ。

息子のために……娘のために……。

彼らが幸せに生きられるなら、あらゆるものを擲つことが
出来た。それも、幸福なことに、それらが正しかったのだ。

ただ、

娘の顔を、やはり遠くから見つめる。
まだ幼い寝顔を。

その捨て去った記憶の泥中に、ダイヤモンドのような輝きが
含まれているとしても、それを焼却炉の中に放り込んでしまうのが
果たして、『その人の』幸福になり得るのか?

そうやって考えると、人間は孤独だ。

人間は未来を見通せない。人間は幸せを測る物差しなど持たない。
人間は過去に蹂躙される。人間は現在に振り回される。
人間は。

人間は、本当の意味で、たとえ肉親であっても、
他人を理解することなど出来ない……。

心の底から、愛することなど出来ない……。
だからわかる。


甘き記憶の死はそこにある。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



私は、私達の中で奏でられる破滅の序曲に耳を傾けて、
そのコンサート・ホールから慌てて逃げ出した。

その時、何よりも大切にしていたものを一つ、失った。

いや、二つ。

……いや、三つ失った。



円環に紡がれた世界の中で。

聖域が崩壊していく。


時を逆戻しするように、
美しく風化した世界に冷めた色が戻っていく。

円環は、いつのまにか醜く砕け散っていた。

グロテスクな生命が生み出されてゆく。
まるでスプラッタ・ホラーの世界だ。歪み、淀み、
純粋だった風にも毒の霧が混ざっている。


世界は、時は先へと進み、未来という女神によって
創造されてゆくのに、無機質な獣だけがこの場にあり、
朽ちることを、死ぬことを、認められなかったからだ。

「なぜ私は死ななかった?」

それは問いかける。その鉄の獣が問いかける。

――なぜ、死ななかった?

理由を考えて、悲しくなってしまった。
情けなくて、打ちひしがれてしまったのだ。


おぞましい不死性がそこにあった。
あれは私そのものだった。

私が。
不死の私が。

邪気の満ちた暗闇に佇んでいた。



離れてゆく。
そうして、心が。身体が。崩れた聖域から離れてゆく。

祈りはない。死がないのだから、祈りなどない。


私はやがて気付かされる。
私達が、いつまでも、『いつまでも、ここにあると』
そう想い続けているだけだった。そのことに。

美しき楽園のようにみえたそれは、よく見れば毒花だらけの
閉鎖された庭園でしかなかった。

古ぼけたラジオから、アンチェインド・メロディーが流れる。


君はまだ覚えているだろうか。

私が、十数年も前から、君をずっと愛していたことに。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


立ち上る、焦げた匂いとすえたような化学物質の臭い。
木材が焼けただけでは、こんな風にはならない。

みずほは、それを知っていた。昔はよく、納屋から灯油を持ち出して
焚き火をしたり、危ない遊びに興じて怒られていたものだ。
だが、火災で燃えた家というのは、そういうものではなかった。

木材の燃えた臭いに混ざって、人間の体臭のするものが燃えている。
そしてプラスチックも、断熱材も燃えている。
だから木材に、腐った甘い果実のような気色の悪い臭いが混ざるのだ。

強烈に死を感じさせる。
みずほはえづくように、肩を震わせた。だが、嘔吐はしなかった。

胃液がこみ上げてきたが、吐き出さなかった。
第一、固形物は3回ほど前には何もなくなっていた。

呆然と、立ち尽くすしかない。

まばゆいばかりに輝いている朝に、Railwayはない。存在しない。
この世から消滅してしまった。

古く乾燥した建物の燃え方は尋常ではなく、ほとんど原型なく
焼け落ちていた。残っていたのは焦げたステンレスの厨房器具で、
それらは炭になった材木の中に埋もれていた。何もかも、
見たことがあるものばかりで、それが何もかも、
姿を変えてしまっていることが、どうしようもなく悲しかった。

町の人間たちが、そうやって積み上がった廃墟に踏み込み、
様々なものを踏み潰しながら、何かを探している。

それは、その家の家主であり、母の親友であり、
そしてみずほにとって大切な人の、
おそらくは、
焼け焦げた惨たらしい死体である。


気絶しそうだった。


「……っ!」

おぞましい想像が鎌首をもたげる。
小暮みずほは、瓦礫の山の中で絶望していた。

彼女の葬儀のときに、自分は泣くだろうか。

……多分、泣けない。


どんなに悲しくても泣けないだろう。

おそらく。


自分よりも深い悲しみを背負っている人の前では泣けない。
だから恐ろしかった。端的に言えば絶望していた。


明日の自分は――

――果たして、今までの自分のままでいられるのだろうか?


昨日まで生きていた人ですら、死んでしまうような世界の中で。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



死者は黙して語らない。


葬列に手向ける花と、


あとはそれを彩る、少しだけの記憶があれば。


……

……――あああ……

ああああ……


記憶――そうか。記憶……。


真っ白なサナトリウムを思わせる天井を見つめながら、
彼女はあえぎ、熱っぽい吐息を肺から押し出した。
そして、その一呼吸で体力を使い果たしたかのように、
瞳を閉じる。


記憶……。記憶の共有……。

忘れがたきもの――。

その全てを――。


これまでに生きてきた人生の、その意味を刻みつけた記憶を……。

私は、もはや書き記すようなことも出来ないということを。


業。

こういうことを業と呼ぶのか。
重いまぶたをこじあけて、ベッド脇のこれまた白いサイドテーブルを
見やる。正確にはその上。平たく置かれた、青い表紙の本を。

「過去は追ってはならない、未来は待ってはならない」

その背表紙を眺め、無意識に口を開いていた。

諸行無常 是生滅法 生滅滅已 寂滅爲樂。

真っ白い世界の中で、カーテンが揺れている。
窓から差し込む陽光は、このベッドまでは届かない。
ただ、緩やかな風がカーテンを揺らしていた。

柔らかな日差しの中で。

真白な世界の中で。

時折、カーテンの間から見える空は、どうしようもなく悲しい青だった。


あの空の向こう――。

空の向こうには、何がある……?


空の向こうには……



あの青の向こうには……


空と海が交わる場所が……きっと……。



重力から解き放たれて、永遠の旅へ向かう。

僅かな衝撃のあと、不意に訪れる闇夜。



彼女は想った。”約束”
約束の重さを。

きっと約束を守るだろう。約束は守り続けられるだろう。

なぜなら、わたしは、ずっと、ずっと、


守れない約束だけは、決してしないと

決めていたんだ。

決めて――い――……

た……


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「そうだよ。それが約束だったよね。お姉ちゃんと私の。
約束は守らなくちゃいけない。そして、守れない約束はしてはいけない」



それは17年前のことだった。

C62(シロクニ)型蒸気機関車が最後の咆哮を上げたとき、
凍りついていた時が動き出した。

動き出した時が、選択するものを、私は見ることができなかった。なぜなら
私の両目は、何一つ物を映すことが出来なくなっていたからだ。

私は失われた世界の中で、シロクニの声を聞いていた。
それはまるで断言するような輝きを持っていた。

前へと進むのだ。と。

例え何があっても、時は止まらずに進んでいく。
少しの例外もない。

私とお姉ちゃんの止まっていた時は、そうして溶け出したんだね。

暖かな光だった……。
何も見えないのに感じる、それは暖かく、優しい光だった。

「私は、絶望も受け入れて生きていくことができると信じていたんだ」

おそらく姉もそうだったはずだ。


……。

私は苦笑した。
存外、間の抜けた話だと思うでしょう?

十数年前まで、私には何もわからなかった。
子供の頃は正しいと思っていたことも、ずっと信じられなくなっていた。
だけど、今は手に取るようにわかるし、信じられた。
それは、もう姉がこの世にいないことを知っているからだ。


ひどいものだった。

これまで、暮らしてきた地獄は、私そのものをすっかりと変質させて
しまった。
例えて言うなら、一度空へ逃げた鳥が、自ら鳥かごへ戻るようなものだ。
悲しいほどに殉じたのだ。

この空に。この山に。この海に。この街に。そしてあの店に。

……

…………

私は空を見ていた。


もうすぐ朝焼けがやってくる。






~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「浩樹くん」

時刻は、おそらく夕暮れだった。
斜めに差し込む灯りの色の濃さぐらいは、わかる。

そして、その肌の熱ささえも感じ取れる。

「私に、最期に、一度だけ、想い出をください」



――あの日のことを忘れたことはない。


姉である藤ノ木ひとえは、彼女の最も愛する有沢浩樹と結ばれた。
そして、妹である藤ノ木ふたえは、二人を祝福した。
自分のことのように喜び、何度も祝福の言葉を口にする。

何度も。

『おめでとう。お姉ちゃん』 『おめでとう。浩樹くん』

『おめでとうふたりとも』

『ようやく願いが叶ったね』


――なぜ。
ふたえは感じていた。違和感を感じていた。

なぜ、見えない双眸からこぼれ落ちる涙を、あんなにも冷たく感じるのか。

なぜ、上気する胸からこみ上げてきた言葉が、あんなにも心臓を
締め付けるのか。

わからなかった。

どうしてもわからなかった。

歪んでいく自分自信。
暗闇の底で。

ふたえは気づかなかった。いや、今にして思う。もしかしたら、気づいていた。
だからこそ、気づかないふりをしたのかもしれない。

ふたえの言葉を聞いて、二人は喜んだりしていなかった。
喜んだふりをしているだけだった。
そうか。

喜んだふりをしているだけだったのか。

そういうことか。

……

「つまり、あの時から、全てがおかしくなってしまっていたんだね」

ふたえは、その言葉を何度も言った。
何度も何度も。飽きるぐらい言った。
過去にとらわれて生きることなど、何の意味もないと知っていたはずなのに
ふたえは何度も口に出したのだった。それは、

有沢浩樹に、抱かれた夜もそうだった。



有沢浩樹と、藤ノ木ひとえは常葉町ではなく、東京で暮らすことになった。
場所は詳しく知らないが、海の見える街らしい。
そこで、新しい生活を始める。

ふたえは常葉町に残り、今までとほとんど変わらない生活を続ける。

藤ノ木ふたえは、彼らを見送らなかった。
彼らも、ほんの小さな別れだけで旅立っていった。

まるで最初からそうであったかのように
この世界。

この街から、二人が消えて、ふたえは一人残された。

だが、ふたえは不幸ではなかった。

……もちろん決して幸福ではなかったが。

それでも絶望はしなかった。

ふたえは秘密を手に入れた。しかも、極めて醜悪で、極めて残酷な
過去の記憶を手に入れたのだ。しかもそれは共有される。
愛する人と、自分の中で。

この想い出は、いつまでも残る。生きる希望を与えてくれるのだ。

ふたえは思った。自分の中で膨らんだ邪悪な思い。冷たい涙。
あの正体は嫉妬だった。
暗い嫉妬の炎に照らされた心は、鋭利な
棘となって体中に突き刺さる。

だが、その痛みは和らげることができる。
とても簡単な行為によって。


“復讐”


復讐心が全ての痛みを癒やしてくれた。
藤ノ木ふたえは、自分がとんでもない
外道に生きていることを悟っていた。

だからこそ生きられる。自らを恥じて、侮辱することで。

私は。

私は……。


私は、おそらく、狂ったのだ。


あのとき、狂ってしまっていたのだ。



断言はできないが、目が見えなかったから
自分がそれまでの自分の皮の中で
生きていられたに違いない。

蛇のように日陰の中を。
だから良かった。
心の底からそう思っていた。

もしも、あの美しい朝焼けを。
輝く海を。透き通る空を眺められたとしたら、
私はその青さに耐えきれず、すぐに命を断つだろうから。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



ある日のことだった。

私は時折、誰にも何も言わずに遠くへ出かける癖があった。

線路をひたすら歩きながら、遠く、遠く。
何も見えないのに、歩くことがあった。

たいていは、そのまま帰れなくなってしまえばいいと思いながら。

ただ、その日はいつものように、
夜遅くなるまで歩いて、常葉へ戻るという
一日ではなかった。


歩くつま先に、柔らかなものが当たったからだ。

しゃがみこんで手で触れてみると、それは人間だった。しかも女性で、
腹部を触ったとき、妊娠していることもわかった。呼吸は弱く、体重も
ふたえでも抱えられるぐらいに軽かった。

抱え上げたとき、女性の体臭が鼻についた。
おそらく何日も、一週間近くは
体を洗ってもいなかったのだろう。
ふたえは、意に介さず彼女を抱えて、
レールの軌道を頼りに歩き、常葉町へと戻った。


常葉町へとたどり着いた時には、ふたえ自身も疲れ果てて
昏倒してしまったが
その前に実家へと電話した結果、
二人とも診療所に寝かせられる事となった。


女性の名前は、木暮美砂。


札幌から行くあてもなく歩き、ここまで来たという。
病室のベッドに並んで寝ている時、ふたえは尋ねた。


「死のうと思ったの?」


美砂は黙っていた。ただ、肯定も否定もしない。

「ごめんなさい」

ふたえは、正直に謝っていた。なぜ? と、美砂は視線だけで尋ねる。
あまり考えずに、率直に答えた。

「だって、死にたかったのに助けてしまったんでしょ」

言いながら、少しだけ面白くなって笑ってしまった。

なぜか涙まで出てくる。どうしてなのかはわからない。
やはり、自分は壊れてしまっているからなのかもしれない。

「私は――」

木暮美砂が口を開いた。初めて聞いた声。優しい声だった。


「私は、今は、生きていて良かったって思う」



――そうなんだ。


ふたえは、安堵した。


夜の診療所は、とても静かだ。先生も、今は家に帰っている。
だから木暮美砂と、藤ノ木ふたえの二人だけがここにいる。


いや、木暮美砂のおなかの中の子供も合わせれば、三人か。


よかった。

本当に。




彼女がもし死にたいと言ったなら、二人を殺さなきゃいけなかった。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




木暮美砂はすぐに退院した。しかし、藤ノ木ふたえは少しだけ
入院が長引いた。


それは、ふたえが妊娠していることが判明したからだった。


ふたえは、それを診療所の先生から聞かされた時、ひどく狼狽し
その場に崩れ落ちて気を失ったという。

それで、入院が長引いたのだ。


運命。神は、あまりにも残酷だった。
それは罪を犯したものを断罪するついて、なんら躊躇いがない。


藤ノ木ふたえは妊娠していた。
しかもそれは、既に姉の夫となった人の子だった。


この事実は強烈だった。


あまりにも大きく、あまりにも重く、
ふたえを何日も動揺させた。
ふたえはこの期間のことを、実は木暮美砂から聞いたのだ。

なぜなら、全く覚えていなかったからだ。


強いショックで記憶が飛んだのか、もしくは記憶に鍵が掛けられたのか。
それはわからない。



ともかく、忘れたいような悪夢であったことには変わりなかった。



「なぜ、私が」


藤ノ木ふたえは、そうつぶやく。

だが、彼女は何も知らなかった。知る由もなかったのだ。


全く――

全く同じ時に、姉の藤ノ木ひとえも、同じようにつぶやいていた。




《なぜ私が?》




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






藤ノ木ひとえは、東京へ来てから日常的に体調不良を抱えていた。
体調が優れず、環境を変えようと海が見えない場所へ引っ越した。

海の見えないアパートから、遠くの空を眺める。
空には、あの北海道の空とは違う色があった。

そしてふいに、腹部に強い痛みが走る。


病院に行くと、子宮内膜症と言われ薬を出された。
それを飲むと少し楽になった。

治りにくい病気で、再発も多い。完治までは時間がかかる。

そして、病気が治らなければ子供を作るのは難しいと言われた。

藤ノ木ひとえはひどく打ちひしがれ、何度も繰り返した。



なぜ私が。

なぜ私が。

なぜ。



耐え難い苦痛が少しだけ収まったのに、続けて訪れたのは、
愛する人の子を成せないという苦痛だった。
だが、薬をやめることなど出来ない。耐え難い苦痛が待っている。

どうすればいいのか。

このことを誰に言えばいいのか。

……

藤ノ木ひとえは、落胆していた。

誰にも言いたくなかった。

夫の浩樹にも。もちろん、妹のふたえにも……。


こうして、藤ノ木ひとえは誰にも言えない秘密を抱え込んだ。
まるで妹と同じように。



一つだけ違うのは、それが誰かと共有できたか、否かということだった。





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





「ふたえさん、生むって」

木暮美砂は、すっかり健康を取り戻した。

見つかったときには、かなりの脱水症状と衰弱によって危険だったが
まだ若く体力もあったのが幸いした。

お腹の中にいるまだ見ぬ子供も、幸いにして生きていた。

それは藤ノ木ふたえのおかげだった。彼女にとってみれば、ふたえは
命の恩人なのである。

もちろん生まれてくる子供にとっても、彼女は大切な
恩人であることには変わりない。

美砂は神に祈った。

「それは、良かったね。どんな形であっても、命は命だよ」

老齢の内科医はそう言って笑顔になった。

この街唯一の医者は、木暮美砂の
命と子供の命を救ったが、同時に藤ノ木ふたえの
子供の命も預かることになる。

腹部に聴診器を当てられ、ひんやりした感触がくすぐったい。

木暮美砂は、神に祈った。


放心状態に見えたふたえを説得し、子供を生むことを承諾させたのは
昨日だった。

他愛のない話だが、『誰の子供であれ、子供に罪はない』と。
美砂は、言いながら苦笑していた。



「(どの面下げて言ってんだろ)」



木暮美砂。彼女の名前は、本当は安倉木美砂という。
彼女も複雑な環境で育った人だった。

本当の家族ではない彼女は、安倉木という姓を名乗るために
それまでの生活を変えてしまわないために、本当は好きだった人の、
その父親とあえて結婚した。

そうすることで、今の幸せな生活が変わらないことを願ったからだ。

だが、それは甘かった。
結局は自分自身を苦しめることにしかならなかった。


美砂は思った。
変わらないことなんか何もない、と。
変わらずに生き続けるものなんて何もない、と。

それを知った時には、何もかもが遅かった。


人はいつだって、今を望むものだ。
変えたいと思っている人もいるだろう。だが、何もかも全てを変えたいと
思う人はいない。何かを残したい、何かは守りたいと思う。


何一つ守るものがない人はいない。
それが人の弱さなのだから、仕方がない。




美砂は神に祈る。


『美砂ちゃんがそう言うなら、いいよ。それがきっと、正しいんだろうね』


正しい。
藤ノ木ふたえのその言葉は、おそらくは贖罪だった。

自分自身もそうだった。贖罪を心の奥底に秘めていた。死のうとして死ねず、
生きようとして生きられないジレンマ。それが贖罪だった。

「――何が正しいか」

「えっ?」

出し抜けにそんなことを言われ、老医者は首をひねった。思わず呟いた
美砂は、なんでもないと手を振る。

そうだ。何が正しいのか。

「(何が正しいかなんて、私にはわからなかったから、逃げ出したんだ。
それなのに、偉そうに)」


ねぇ? と、大きなお腹を見下ろして、今度は心の中でつぶやくのだった。

子供は、いつかこの問いに答えてくれるだろうか。
自分では出せなかった、ついに答えることができなかった問いに
答えることができるだろうか?


私は、祝福を望む。この子の人生に……。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



木暮美砂は、一人の女の子を出産した。
子供の名前は、みずほと名付けられた。


しんしんと真っ白な雪の降るある日。


美砂の出産から数日後、藤ノ木ふたえが産気づいた。早産だった。

藤ノ木ふたえはこの頃食欲もなく、やや血色が悪かった。
美砂は生まれたばかりの赤子を抱きながら、ふたえの出産に立ち会うが
比較的スムーズだった美砂の出産とは全く違う、重苦しい
緊張感が診療所に漂っていた。

もしかして――

美砂は言いかけて、口を閉じた。夜だと言うのに十数人の町人が集まり、
友人の役場職員、月方浩一郎も駆けつけていた。(同じく友人である
奥さんは寝ていたらしい。のんきな人である)


美砂たちの待つ待合室から、診療室が見えるわけではない。
それでも、ドアの向こうにいるふたえ……恩人の二つの命を案じて
ただひたすらに祈っていた。


ふたりとも無事でいてくれれば……。

それは、その願いは。

美砂は一年近く前に、その願いが届かなかったことを知っている。
愛した人の父親が、交通事故で亡くなったときに、
どんな祈りも、どんな願いも、どんな夢も信じられなくなった。

だが、もし、もしも、



ここに、夢があるのなら――


届かなかった祈りが、届くのなら――



……

…………





……深夜。

気温はひどく下がり、寒暖計は氷点下10度を指していた。振り続けた雪が
さらさらと軽い砂のように積もり、緩やかな風がそれを巻き上げている。



藤ノ木ふたえは、一人の男児を産んだ。
彼女自身も衰弱していたが、かろうじて生きていた。

ただ、その男児は死にかけていた。ふたえの腕の中で、弱々しく
動くその男児の小さな胸は、いつ停止してもおかしくないように見えた。

「保育器に入れるしかない、が、うちにはない。ひたすら湯を沸かして
ずっと温め続ける必要がある。だがこの寒さだし、安全のためには、
保育器のある病院へ移すのが最良だが……」

老齢の医者は困ったように言う。

「藤ノ木さんが了解せんで」


ふたえは首を横に振った。

「何もしないでください」

か細い声は、まるで喉の奥から絞り出されるように。

「もし死んでしまうなら……仕方がないんです……」

見ていた木暮美砂も、月方浩一郎も狼狽えた。ふたえは、その子供を
死なせることを望んでいるのかもしれないと思ったから。


二人は知っていた。

いや、ふたえの両親どころか、町中の人が、薄々は感づいていた。


木暮美砂は知らないが、藤ノ木ふたえの姉の結婚相手。それが、その子の
本当の父親であることを知っていた。

ふたえは、その人と離れて誰かと付き合うことができるような性格の
女ではないと思われていたし、何よりも彼女は、全く目が見えなかった。

その目に最後に映した男性を、忘れることなど出来ないのだろう。


ただ、それは子供には関係のないことだ。
美砂は憔悴した様子のふたえに、顔を近づけた。

「ふたえさん。その子はあなたの子です。誰のものでもない。だから、
大切に育てなきゃだめでしょ?」
「だから……」

ふたえは、震える乾いた唇を動かした。

「美砂ちゃんに……この子を……」

「この子を……」



ふたえは、泣いていた。


「美砂ちゃんに……どうか……わた……し……月方くん……」



月方は……驚愕して、その話を聞いていた。

「『木暮さんの子供ということにしてほしい』だって!? そんな!」

「この子は……」


「この子は……私の子じゃない。そんなことは、あってはならない……
だから、どうか……このことを……誰にも……絶対にっ……
もし……それが駄目なら……」

ふたえは、か細い乳児を抱きながら、まるで探るように
その手を伸ばした。

乳児の首へ。

「いないほうが……きっと……誰にとっても……いいから……」

「生まれなければ……こんなこと……」



ほとんど反射的に、美砂はふたえの手を握りしめた。

「大きな病院に連れて行って、保育器に入れる」

やや強く、ふたえの手を。少し強引に思えるほどに、強く。

「この小さな子を、あたしの子供として、それで、気が済むってこと?」

ほとんど怒ったように、美砂は言った。
ふたえは、小さく頷いた。そして、それで力尽きたように
大きく息を吐いた。


「これで……いい……?」

「(勝手なことを……!)」


美砂は、もう一つの手でふたえの胸元から、軽い乳児を抱き上げた。

本当にか細い命。今にも呼吸が止まりそうな、そんな存在に、
美砂はぞっとして思わず震えた。


「(このままではこの子は死んでしまう)」


大きな病院まで送るのも、一時間以上かかるかもしれない。
外は大雪だ。車が走れるだろうか? 視界も悪い。

それまで生きているのだろうか? 


もしかして……

美砂は目を閉じて、思った。もしかして、
ふたえはこうなることを望み、
自分の行為が、救われると思ったのかもしれないと。


美砂のように。

生きることと、死ぬことを選べないまま……。


この場所に来て……。


そして、いずれかが死ぬ。

いや、もしかすると、どちらも結果として死ぬことを。
この雪は、二人の死に手向ける花なのかと。

そう思うと、その雪は悲しいほどに白すぎる。




美砂は、身動ぎする存在に気がついた。


それは、まだ生後一ヶ月にも満たない小暮みずほだった。
木暮みずほは、腕の中で手を伸ばしていた。
生まれたばかりで、今、まさに死にかけているその乳児に。


細い小さな手が、
それよりも弱々しく震える乳児の、背中にそっと触れる。


ほんの少しだった。だが、美砂はそれを見ていた。

不思議な思いで、それを見ていた。


瞬間、乳児の震えが少し収まった。




折から吹き始めた風で地吹雪となる道を、
闇世の中を自動車が疾走し、病院へとたどり着く。


男児の命は助かったのである。

男児の出生は偽装され、木暮みずほと同日に生まれたことになった。
男児は、高浩と名付けられた。


強硬に嫌がる藤ノ木ふたえに、
無理やり決めさせた名前だということを
この子が知ったら怒るだろうか?

苦笑するしかない。



青空に、真っ白な雲が浮かぶ。

緩やかに流れる風。

木立を揺らす、冬の風。


「これで……いい……?」


虚空を見つめながら、あの時ふたえが言った言葉は、
美砂に言ったのではなかったかもしれない。


美砂はそんなことを、その時思っていた。





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





幾年も、穏やかに時は過ぎ。


「たーくん、こっち」
「まって」


木暮美砂は、藤ノ木ふたえの淹れた紅茶を飲みながら、頬杖をついて
Railwayの窓から、花壇の近くでボール遊びをしている二人の幼児を
眺めていた。

花壇には色とりどりの花が咲き乱れている。

6月の遅い春。常葉町には、あまりにも短すぎる春だった。



「5年前に、こんな人生が来るなんて考えたことがあった?」

木暮美砂は、たわむれに問いかけてみる。藤ノ木ふたえからは、返答は
返ってこないかと最初思った。

数秒。いや、十秒か。少しだけ時間が経ってから、厨房から
返答が返ってきたので、むしろ美砂のほうが驚いた。

「私にとっては、5年なんて昨日のことみたい」

美砂は、少しだけ落胆した。それは、問いかけの返事ではなかった。

それともふたえにとっては、それが答えだったのだろうか?

厨房でグラスを磨いているふたえは、変わらないように見える。
少し精神的に不安定なところもあったが、
今は何も、変わっていないように。



……ああ。


美砂は嘆息した。そうなのかもしれない。

ふたえにとっては、5年前なんてものは昨日のことで、
そして、その時から……


藤ノ木ふたえの時計は、その時から止まってしまったのかもしれない。


Railwayは駅舎を改装した喫茶店だ。古ぼけた木造で、大雪の日には
倒壊するかもしれないと気を揉むほどだ。

この廃線駅に、列車が来ることはない。

美砂は紅茶のカップを傾けて、鮮紅色の暖かな液体を飲み干した。


――この喫茶店の時刻表に、次はない。


――じゃあ、あるのは何だろう?




ここにある未来とは、何だろう?
ふたえにとって……


いつになれば、明日は来るのだろう?






「おねえちゃん」

男の子の声に、ふたえはすぐに反応し、しゃがみこんだ。
エプロンで手を拭い、男の子の頭を撫でる。

「どうしたの? 高浩くん」
「だれかきたよ」

すぐ近くに母親がいるのに、高浩はよくこうして、何かがあると
ふたえの所にやってきた。みずほは逆で、すぐに母親に泣きついた。

高浩がRailwayにやってくると、ふたえはいつも
こうして優しく頭を撫でた。その手はいつも、
仕事をしていて濡れていた。


「へぇ、お客さんかな? 珍しいね」
「……ちがうよ」

高浩がそう言う。ちょっと拗ねたような言い方で。ふたえは口調から
その子がどんな心境なのか察することが出来た。

盲目のまま生活していて、集中力が増すことで、これまでよりも音に
敏感になった。音に集中して生きると、目では見えないものも理解できる
気がした。

そんな耳に、音が届く。


  からん……


ドアにつけられたベルが鳴る。

木製の床を踏みしめる音が聞こえる。

ふたえは、高浩の身体を抱きしめた。


「……」
「どうしたの?」

「ふたえおねえちゃん?」
再度問いかけて、ようやくふたえは高浩を離した。


「高浩くんは、みずほちゃんとお外で遊んできてくれる?」
「うん」
「さぁ競争だよ」

今入ってきた人の脇を通り過ぎて、一気に駆け出して
高浩は外へと出ていった。



入れ替わるように、厨房へとその人物は入ってくる。
歩幅、足音の感じ。ドアの開け方。

ふたえには、その人物が声を上げるよりも先にわかっていた。


「どうしたの? 突然」

ふたえが立ち上がりながら、その人の名前を呼ぶ。


「浩樹くん」



声が、かすかに震えたことを、ふたえ自身の鋭敏な耳が聞いていた


<Way to the Blue 52> END

| 連続小説 Way to the BLUE | 22:20 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

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